埼玉・越生町の宿泊施設 掘らずに発見!井戸水を調べたら…乳白色の温泉だった
温泉を掘らずして発見したラッキーな施設がある。青梅市内から車で1時間ほどの距離にある埼玉県越生町の宿泊・レジャー施設「ニューサンピア埼玉おごせ」だ。敷地内の井戸水を調べたら、実は温泉だった。同施設ではこの湯を「越生温泉」と名付け、8月から全量源泉を使った温泉の営業を開始。新規客を増やしている。(伊藤)
事の発端は2019年3月ごろ、経費削減のため使っていない井戸の水を敷地内のプールに使えないかと井戸水を調べたこと。地下約300㍍から水を汲み上げると、白く濁っていた。3日経っても濁りが消えなかったため、プールの水に使うのは断念した。
「でも、嫌な濁りじゃなかったんです」と施設の運営会社専務で総支配人の山田純さんは振り返る。「乳白色で温泉みたい」という従業員の声に背を押され、6月に長野県薬剤師会に成分分析を依頼。pH10・3、消毒効果のあるメタホウ酸と美肌効果のあるメタケイ酸を含むことがわかり、「温泉の資格を有す」と認められた。乳白色のアルカリ泉は珍しく、県内では唯一という。
分析結果を受け「うれしい半面、どうやってこれを営業に結び付けようかとしばらく悩みました」と山田さん。
年が明け、コロナ禍の最中に約500万円を投じてポンプなどの設備を整えた。以前は近隣の温泉からの「運び湯」などで運営していた施設内の「梅の湯」を自前の温泉に切り替え、8月に営業を開始した。
山田さんは「ホテルで天然温泉が発見されたことは新たな強みになる。『越生町』の名を東京の人たちにも広く知っていただけたらという思いで『越生温泉』とした。町の新たな観光スポットとして注目していただけたら」と温泉の集客効果に期待する。
実際、8月以降は温泉を目当てに来る新規の客が増えているという。
営業時間は9時〜21時30分。料金は中学生以上で平日600円、土日・祝日700円。17時以降は500円。問い合わせは049(292)6111まで。
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越生町は関東三大梅林の一つ「越生梅林」で知られる。施設周辺には「山猫軒」「オクムサ・マルシェ」「縁側カフェ」など魅力的なカフェやそば、うどんの名店、地酒を扱う酒店などがあり、梅の季節以外でも散策やドライブが楽しめる。