多摩産材と大豆ワックスでオリジナルキャンドル発売 檜原村 森のささやき
檜原村の名瀑、払沢の滝の遊歩道にある木工房「森のささやき」はこのほど、芯の部分に多摩産材の端材を用いたオリジナルキャンドルを発売した。「よそにない商品で檜原村をPRしたい」と店主の中島保さん(84)が考案した。
厚さ2㍉の板を4枚、十字型に合わせた芯に大豆ワックスを染み込ませたろうそくは、石油由来のパラフィンを使ったものと比べ嫌なにおいがしないのが特徴。十字の芯を伝って炎が縦横にゆらめき、まるでたき火を眺めているかのような気分になる。「森の中にいる雰囲気でしょう」と中島さんは得意げだ。
中島さんは日野自動車羽村工場に勤務していた40代、檜原出身の同僚を通じて村を知り、訪ねてすぐに豊かな自然に魅了された。府中市に自宅を構えたまま2夏ほどを檜原の民家で過ごし、すっかり気に入ってしまった。
翌年、村内に土地を借り、拠点となるロッジを建設。単身、檜原に居を移し、休日には村の子どもたちにサッカーを教えるなどして村民との交流を深めていった。
50代、会社のセカンドライフ休暇制度を利用し、長野県の技術専門校で木工技術を習得。56歳で会社を退職後、解体予定だった村役場前の旧檜原郵便局舎を1年掛かりで現在地に移築し店舗として活用することに。都と村の助成を受けて同村時坂に木工房を建設し、59歳で木工品の製作を始めた。
開業当時からのこだわりは「人真似でなく、ここに来なければ買えない独自の製品を作ること」。店には多摩産材のワインホルダーやカホンなどユニークな製品が並ぶ。店主が語る制作秘話もまた、来店してこそ味わえる。
中島さんは「これまで長い間、村にお世話になった。村のために何かしたいとアイデアを練った」と新たな商品を紹介。「スイッチひとつで暖房が使える時代だが、たまにはろうそくの火を眺め、子どもたちに炎の温かみを体感してもらいたい」と付け加えた。
価格は1300円。300円で木製のフタも販売する。店は原則土日、祝日の10時頃〜日没営業。電話してから来店すると確実。問い合わせは042(598)1110まで。(伊藤)