散文集『山からのたより』出版 山と生きて40年 あきる野市養沢出身の池谷さん
あきる野市養沢に生まれ、40年余り家業の林業に携わってきた池谷キワ子さん(81、調布市)が、山について書き溜めてきたことをまとめ、『山からのたより養沢で林業とともに』(A5判134㌻)を出版した。
これまで林業・自然関連の情報誌などに掲載された文章を集めた散文集。地域の歴史や自然について、家業への思いや林業をめぐる情勢、相続の苦労、山で出会った人たちのことなど、山をテーマに多方面から書かれた内容で、読み物として楽しめる。親しみやすくリズミカルな文体に引き込まれ、するする読み進める。
池谷家はキワ子さんの5代前の治郎平の代から専業で林業に従事してきた。池谷さんは40年前、家業に参加し、父とともに養沢と檜原にある185㌶の山林を管理経営してきた。父の他界後、1991年に事業を引き継ぎ、森林ボランティアの手も借りながら山の整備を続けている。
池谷さんは著書の中で「子孫や周囲の人たちに山のことを伝えて残したい、森林で出会ったこと、感じたことを知ってもらいたい」と出版の理由を記している。また「林業が若者にとって魅力的な天職と感じてもらえるような環境になっていってほしい」との願いも綴られている。長年、山を見つめてきた池谷さんの思いの詰まった1冊になった。(伊藤)