あきる野 真木テキスタイルスタジオ 伝統的な手法で春繭のずり出し

アトリエのある養沢で育った蓼藍の生葉で染色した生繭の絹糸

草木染・織物工房の真木テキスタイルスタジオ(あきる野市留原)は6月16日、春繭の糸取りを始めた。八王子の養蚕農家から生繭を仕入れ、「ずり出し」という原始的な糸取りを20年続けている。

この手法で紡いだ絹糸は蚕が吐く糸、そのままの縮れた風合いを持つ。仕入れたての生の繭から紡いだ絹糸は乾燥貯蔵されないので変色がなく、繭そのものの純白を保つ。透明感のある絹糸は染色時の発色を引き立てる特別な素材として布に織り込まれている。スタジオでは10㌔の繭からとれる3㌔ほどの絹糸を余すことなく大切に使うそうだ。

ずり出しを行う真木さん(右)

代表でデザイナーの真木千秋さんは武蔵野市出身。1990年、あきる野市留原に工房を構えた後、同市養沢に移住した。2006年、北インドのヒマラヤ山麓にも工房を作り、染色植物の栽培や布の素材を育てながら手紡ぎ、手織りの制作も行っている。

真木さんは「20年前は10軒ほどあった八王子の養蚕農家は現在、1軒のみとなり、生繭とその絹糸はより貴重になった。天然素材の美しさと使い心地の良さを広めたい」と話す。

商品は5月に開設したオンラインショップでも購入可。問い合わせは042(595)1534まで。(木住野)