福生市郷土資料室 平和のための戦争資料展

古関裕而の直筆メッセージが見られる日の丸国旗(寄せ書き)

戦後75年。15日の終戦記念日に合わせ、西多摩各地で戦争に関する資料を展示するなどの企画展が行われている。福生市郷土資料室(同市熊川)では8日〜9月27日、企画展示「平和のための戦争資料展」を開催。今年は日清・日露戦争から太平洋戦争における「情報」に関する資料と、国民生活の状況を伝える福生に残された戦争資料、合わせて100点余を展示している。

同資料室は毎年終戦の日に合わせて、平和の大切さを再認識することを目的とした企画展示を行っている。今年は戦争に関する報道・喧伝・出版物などのメディア資料を多数展示。太平洋戦争が起こると大本営による情報統制とともに、戦争を扇動する宣伝がさまざまな形で繰り返されていたことがわかる。

新型コロナに関するさまざまな情報が、報道やSNSを通じて飛び交うなか、「戦時中とは時代も状況も異なりますが、情報を受け取る私たち一人ひとりの冷静な選択と判断、適切な行動が求められています」と同資料室職員。「戦争のない平和な生活を大切にするため、戦争に向かっていかないためにどうあるべきか、考えるきっかけにしていただければ」と話していた。

福生に残された資料としては、コロムビアレコードに勤めていた東浦榮二(1945年戦没)が出征する際、同社関係者から贈られた日の丸国旗(寄せ書き)が珍しい。同市に住んでいた弟が寄贈したもので、作曲家や音楽家、歌手などのサインのほか、NHK朝の連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルとなった作曲家、古関裕而の直筆も見られる。

横田基地公式ツイッターで話題に
太平洋戦争時の機関銃砲も展示

同資料室は6日、旧日本軍使用の機関砲の一部など、横田基地内で出土した太平洋戦争中の資料を同基地から寄贈され、同企画展で展示している。寄贈の様子は同基地公式ツイッターで配信され、目当てに訪れる人も多いという。

同機関砲は2017年に同基地内の工事現場で発見されたもの。昭和年代のもので、銃身には穴が開けられ、使用不能にされている。

入館無料。月曜休館(祝日の場合は開館し、翌平日休館)。開館時間は10時〜17時。問い合わせは042(530)1120まで。(佐々木)