奥多摩移住10年の菅原さん 著書で新たな生き方を提案

著書を手にする菅原さん。勤務先の東京・森と市庭で

20代で奥多摩町に移住した菅原和利さん(33)の著書「自分の地域をつくるワーク・ライフ・プレイミックス」(本の種出版、四六判192㌻)がこのほど出版された。

地域の中で仕事(ワーク)、暮らし(ライフ)、遊び(プレイ)を調和させ、自分らしく楽しく生きる術を綴ったもの。奥多摩との出合いから現在に至るまで約10年間の紆余曲折や、その時々に感じたことが包み隠さず記されている。コロナ禍に生き方を模索する人、地方への移住を検討する人たちの参考になる本だ。

菅原さんは法政大学在学中、地域の環境課題を解決するサークルの活動を通して奥多摩を知った。ビジネスで地域活性化を図ろうと、卒業直前の2010年3月、奥多摩に移住。仲間2人と任意団体アートマンズを立ち上げた。翌年株式会社化し、キャンプ場でのアウトドアウェディングや空き家を使ったシェアヴィレッジなど画期的な事業に取り組んだ。

その後、家庭の事情で一旦奥多摩を離れるが年に戻り、奥多摩の木で商品開発から加工、販売までを手掛ける「東京・森と市庭」の立ち上げに参加。営業担当として顧客を開拓し、木育事業で社を支える存在となった。プライベートでは年に結婚。昨年暮れに第2子を授かり、現在は育児休暇中だ。

コロナ禍で都市生活の不便さが鮮明化し、地方に注目が集まる時代。東京最西端の奥多摩で、自ら仕事を作り、家族と暮らし、釣りやカヌーなど消費に頼らない遊びを享受する菅原さんの生き方にあこがれる人は多いだろう。

菅原さんは「占星術では昨年の冬至で土の時代から風の時代に切り替わったとされている。物を所有することに価値を見出す土の時代は終わり、生き方やあり方に重きを置く時代になった。次の時代をどう生きていこうかという人に本の内容が少しでも響いたらうれしい」と話している。定価は税別1700円。アマゾンで購入可。菅原さんのブログ「自分の地域をつくる道」に感想などを送ってほしいという。(伊藤)