おいしいものが集まるフードトラックフェス あきる野の協会が企画

笑顔で接客する高野会長

あきる野市内のキッチンカーを集めた「増戸フードトラックフェスティバル」が2月23日、同市伊奈の小作木工敷地内で行われた。コロナ禍の気分転換に、小さな楽しみを見つけに来たという人が多かった。

新型コロナの影響が長期化し、緊急事態宣言による時短営業やイベントの中止で飲食業は苦戦が続く。一方、人々は外食を控えるなどの我慢を強いられている。厳しい状況下で地域の人に喜んでもらい、売り上げにもつながればと、あきる野フードトラック協会(高野俊明会長)が企画し、小作木工が会場を提供した。

イベント会場。入れ替わり立ち変わり多くの人が訪れた

イベントのコンセプトは、各店が看板商品を持ち寄ること。協会所属の7店が出店。「くんせい屋いぶし庵」はスモークチキン、「キッチンカーヤス」は窯焼きピザ、「らじっく」は鯨カツ、「すぎちゃんの唐揚げ」は中津風鶏の唐揚げ、「やきとりおがわ」はやきとり、「つぼ焼き芋縁」はつぼ焼き芋、「炭火焼肉らん」は牛筋煮込みをそれぞれ販売した。会場内に飲食スペースを設けないことで滞在時間を短くするなどの感染対策に努めた。

協会は昨年1月に設立。現在10店が所属する。会長の高野さん(42)ら設立メンバーは移動販売のみの営業だが、半数近くはコロナ禍で実店舗の収益が激減し、新たに移動販売を始めた店主ら。初出店の「らん」の店主、高橋輝記さん(29)は「店で待っていてもお客さんは来ないので、自分たちが出てきました」と話す。

高野さんは約5年前に開業。「自分の商品を実際に見てもらい、PRしながら売り歩こう」と店舗は構えなかった。地道に出店先を開拓し、行く先々で少しずつファンを増やしてきた。

コロナ禍でキッチンカーを始める人が増え、協会に入りたいという問い合わせも増えている。協会では、手作りの品を扱う店であることや、独自に工夫した看板商品があるなど一定の条件をクリアした事業者のみを受け入れ、全体の水準を高く保っている。

昨年暮れに入会した「すぎちゃんの唐揚げ」の杉渕義明さん(51)は「良いものを作ろうという人たちの集まりなので、とても刺激になる」と仲間の前向きな姿勢に励まされるという。

協会の活動目的の一つに「地域の催しを盛り上げる」がある。高野さんは「キッチンカーには移動できる強みがある。コロナが収束し、自由にイベントができるようになったら、以前のように自治会のお祭りにも出かけたいですね」と切実な願いを口にした。(伊藤)