瑞穂町 Gallery&額工房ARTWILL 父から受け継いだ技術でオーダーメイドの額作り

「うちの額は落としても壊 れ ないです」と話す生さん

瑞穂町箱根ヶ崎駅から国道16号方面に10分ほど歩いた場所にある、Gallery額工房&ART WILLでは、額のデザインから木工、塗装、額装までの工程を一貫して自社工房で行う。オーダーを受けてから一点一点丁寧に仕上げるが、コストパフォーマンスも高く、作家や都心の画商からの注文が多い。

「額縁の展覧会」の様子

メープル、ヤマザクラ、タモなどさまざまな木材をそろえ、客の要望に合わ加工する。仕上げは木目を生かしたシンプルな物から、胡粉を吹きつけたり、箔を貼ったりなど、装飾に凝った物まである。

店を営む2代目の村野生さん(37)は「作品のコンセプトを考えながら額を作っている。何度も同じ作家さんと仕事をしていくことで、ようやく要望に近づける。まだまだ修行中です」と話す。

ART WILLは生さんの父で、画家の幹人さんが1984年に「絵の具屋國太郎」として創業。生さんは小学生になると、忙しそうに働く父の姿を見て、工房を手伝うようになった。木の加工や、ガラスのカットなどの基本的な技術はその頃に身に付けたという。

大学入学後すぐに、店を手伝っていた母が倒れてしまい、生さんは本格的に店で働くようになった。当時を振り返り「単位を取るために大学に行っていたよ
うなもので、就職したいとか、他のことを考える余裕はなかった。学校に行く以外は仕事をしていました」と話す。

父の体調が悪くなり、10年ほど前から生さんが一人で店を切り盛りするようになった。父の時代から受け継いだ作家や画商の仕事だけでなく、新たな顧客を開拓しようと、ウェブサイトのリニューアルやSNSにも力を入れた。8月には額縁を主役にした「額縁の展覧会」を渋谷区で開催。最近は、一般客からの注文も増えてきたという。

胡粉で塗装し、コーナーに装飾を施した額

「父は危険な木工作業を伴う額の仕事をさせたくないようでしたが、主体性があまりない自分には、作品を主役にする額作りが性に合っているのかもしれません」と話した。(鋤柄)