深い黒が美しい黒八丈 糸工房「森」で展示会 江戸の粋を現代に

展覧会に出品する商品(一部)

秋川流域で江戸中期から大正にかけて農閑期に織られていた絹織物「黒八丈」を30年ほど前に復活させた森博さん(73)の展覧会「糸からのプロローグ」展が26日~29日、あきる野市伊奈の糸工房「森」で開催される。黒八丈のベストやショール、バック、草木染めした絹糸で作ったネックレスやブローチなど約200点を展示販売する。

森さんは創業79年の森縫合糸製造所の3代目。黒八丈に使う絹糸は、日本で唯一稼働する「張り撚り式八丁撚糸機」で生産している。展覧会では糸撚りの実演も見られる。

黒八丈を織る絹糸は、ヤシャブシの実を煮出した染料で染め、鉄分を多く含む泥で媒染することから「泥染め」と呼ばれる。何度も染めを繰り返した糸を、織匠に織り上げてもらうことで、吸い込まれるような黒が独特の光沢感を放つ反物となる。「五日市」とも呼ばれる黒八丈は江戸の粋な女性に好まれたという。

森さんは「今年も良い色に染め上がりました。ショールは特に良い色合いです。例年より巾着やポシェットも多く用意できたので、ぜひ多くの人に足を運んでいただきたいです」と話した。

開催時間は10時~17時。工房横に臨時駐車場あり。問い合わせは042(596)0250まで。(鋤柄)