岩井支線の廃線跡巡り著作 鉄道愛好家の山本さん

秋田県の鳥海山ろく線鮎川駅の名誉駅長でもある山本さん

鉄道愛好家の山本留吉さん(35、本名非公開)は、旧五日市町の武蔵五日市駅から旧大久野村の武蔵岩井駅を結んでいた五日市線岩井支線(大久野支線)について、現地調査をもとにこのほど「岩井支線廃線紀行~五日市線武蔵五日市―武蔵岩井の今昔~」(A5判65㌻)を自費出版した。

岩井支線は1925(大正14)年に開通し、浅野セメント(現太平洋マテリアル)の貨物輸送と工場従業員の通勤や大久野地区の住民の交通手段として利用されていた。71年に大久野—武蔵岩井間が廃止されたのを皮切りに段階的に営業を縮小し、82年には事実上、全線が廃線になった。

山本さんは都内に暮らす無類の鉄道好きで、コロナ禍以前は休日といえば北海道や長野など地方の鉄道に乗る旅をしていた。昨年2月以降、都外への外出が制限されると、身近な廃線が気になりだした。五日市は母方の祖父が暮らした地。毎年、広徳寺(あきる野市小和田)に墓参りにも来ていた。

本をまとめるのに参考にした資料の一部

今年4月、親戚宅を訪ねた際、岩井支線を巡ってみた。駅舎や線路など大部分の遺構は撤去されていたものの、レールの土留め柵や線路と畑の間にあった用地境界標などの痕跡を発見。がぜん面白くなり、その後も月に数回通って現地調査の結果をまとめた。さらに太平洋マテリアル西多摩工場の協力で未公開資料の閲覧がかない、それらの情報も書き加えて本にした。著書には工場内を走っていたディーゼル機関車の図面や時刻表なども盛り込まれている。

山本さんは「せっかく調べたことをまとめておけば、私より後に岩井支線が気になった人の役に立つこともあると思う。この本の存在が、私の知らない資料や情報が出てくるきっかけになればうれしい」と発刊の思いを語った。

問い合わせはメールtaisyourouman★gmail.comまで。(伊藤)

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