あきる野 広徳寺の裏山で江戸時代の〝名所〟「双虎巌」を撮った

 江戸時代の『新編武蔵風土記稿』に紹介された、広徳寺の寺山にあるという「双虎巌」を見つけて調べてみたいーー。秋川流域ジオの会(内山孝男会長)の会員ら6人はこのほど、あきる野市小和田の広徳寺境内東南の尾根筋にある「双虎巌」を探し出し、岩石調査を実施した。

 地元の地理に詳しいあきる野市議の天野正昭さん(65)のガイドで、広徳寺から小峰公園に向かうハイキングコースの途中から尾根筋に出て「双虎巌」を見つけた。

2頭の虎に見立てられた「双虎巌」

 二つの岩が尾根から突き出しているように見える岩石で、「一はめぐり四丈あまり、高さ五尺、一は双虎のいづくまりたる形にみなさる、因って二ツ岩と云」と『新編武蔵風土記稿』に記されている通り、大きい方の岩は周囲12㍍、高さ1・5㍍ほどあった。

 『新編武蔵風土記稿』は、江戸時代に昌平坂学問所で編纂された武蔵国の地誌で、1830年に完成し、集落の自然、産品、寺院、名所、旧跡などが記されている。

 また、同じころに出された『武蔵名勝図会』には、「双虎のするに相似たり。このゆえに名とす。或は二っ岩とも号す」とし、2頭の虎がうずくまっているように見えると記している。ただし、現在は広徳寺の境内からは「双虎巌」は樹林の中で全く見えない。

 岩石調査をした会員らは「双虎巌は堆積岩の一つのチャートで、非常に硬く、ち密で細かい石英からなる岩石だ」と話している。(浅葉)