あきる野市 WS畑から始まる和紙づくり 収穫を終え、紙漉きへ

収穫したコウゾの前に立つ中川さん(中央)と受講者。この日採れたコウゾで、A3サイズの和紙が150枚ほど漉けるという
収穫したコウゾの前に立つ中川さん(中央)と受講者。この日採れたコウゾで、A3サイズの和紙が150枚ほど漉けるという

 和紙の原料である「コウゾ」の栽培、収穫、紙漉きまでを1年掛けて体験するワークショップ「畑から始まる和紙づくり」で昨年4月から栽培を始めたコウゾの収穫が12月中旬から1月下旬にかけて行われた。受講者4人は、大悲願寺(あきる野市横沢)から徒歩3分の場所にある畑で3㍍ほどに育ったコウゾを鎌や剪定ばさみで収穫した後、蒸して皮を剥ぐ「蒸し剥ぎ」を体験した。

 同市で和紙を製造販売し、原料生産も手掛ける「紙しごと双清」の中川幸子さん(同市小中野)が主催。「紙づくりの全工程を体験してもらうことで、和紙の本当の価値を知ってもらいたい」と企画した。

 これまで畑の草刈りや芽の間引き、脇芽を採る「芽かき」などの畑仕事を体験。次回の講座で繊維を取り出す「かずひき」や、きれいな和紙を作るためにちりや筋を取り除く「ちりより」などの作業をし、3月の最終回に紙漉きに挑戦する。

コウゾの刈り取りを実演しながら説明する中川さん
コウゾの刈り取りを実演しながら説明する中川さん

 大学で染織を学んだという受講者の比嘉さわさん(同市雨間)は「学生時代、布や染料などの材料を買うのが当たり前だった。綿や蚕を大切に育てている人がいるからこそ、布が容易に手に入るのだと改めて実感した。コウゾを育てる中で自然と触れ合うこともでき、貴重な体験になった。残りの工程も楽しみです」と話した。

 中川さんは「コウゾを一から自分の手で育てることで、和紙が植物からできているということを実感してほしい。あきる野にも自生するコウゾが、美しい和紙になるということを広く伝え、和紙文化を守っていきたい」と語った。(鋤柄)