あきる野市富士見台自治会 稼いで建てた会館完成 資源回収と野菜販売で

木造瓦葺平屋建て(46坪)の新会館を背に、完成を喜ぶ石原会長(前列左)ら自治会役員
木造瓦葺平屋建て(46坪)の新会館を背に、完成を喜ぶ石原会長(前列左)ら自治会役員

 資源回収と野菜販売で自治会自ら資金を稼ぎ出し、建設を進めてきたあきる野市の富士見台自治会館(同市下代継)が完成し、6日に落成式が開かれた。自治会役員をはじめ住民が協力し、用地取得から8年越しの大事業を成し遂げた。

 用地は自治会が借り入れをして購入。それまで年2回だった資源回収を12回(毎月実施)に増やし、さらに役員有志で畑を借りて野菜を育て、売上金を自治会に寄付して建設費に充てた。宝くじ助成金1500万円も活用した。

 事業をけん引したのが、2014年から自治会長を務める石原さん。「石原さんが会長でなければとてもやり遂げられなかった」と周囲の誰もが口をそろえる。

 式典であいさつに立った石原さんは、地主の相続問題により8年前に立ち退きを求められた際、地域の小学生に「会館が無くなったら富士見台も無くなるの?」と問われ、不安を払拭するために土地を買って老朽化した会館を建て替える決意をしたと明かした。だが、建設費として会員に寄付を募れば9割が自治会を退会すると役員らに忠告され、自力で資金を賄うことに。

 役員の提案で野菜づくりを始めたものの、想像以上の過酷さに30分で立ちくらみ。「『あんたには無理だ』と言われるほどファイトがわいてきて、貫こうと決めた」と持ち前のガッツで立ち向かった。めげずに続け、二宮のしょうが祭りで1日に60万円以上のショウガを売ったこともあったと振り返った。

 100万円以上かかるとされた旧会館の解体も自治会有志で引き受けて経費を浮かせ、作業で出た鉄まで売った。石原さんは、新会館は住民らの涙ぐましい努力のたまものだとし、「皆さんの真心で建った」と地域の協力に感謝した。

 設計・管理を任されたマサル設計(同市下代継)の木下優社長は、110坪の狭い土地に少ない費用でいかにして避難場所としても使える頑丈な建物を建てたかという工夫や苦労を披露。「今後は石原さんのように会館を建て直そうなんていう元気のいい人はそうそう出てこないと思うので、100年以上は使ってほしい」と呼びかけた。

 来賓で村木英幸市長、網代和夫自治会連合会会長らがあいさつした。(伊藤)


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