瑞穂町 ジェラート店営む清水牧場 最新の搾乳ロボット導入

ロボットが乳を搾る様子を見つめる久央さん
ロボットが乳を搾る様子を見つめる久央さん

 瑞穂町長岡で約100頭の乳牛を飼育する清水牧場(清水陸央牧場長)は、2018年にジェラート店WESTLANDFARMをオープンし、都内の酪農家の間でいち早く六次産業化に着手。都内で唯一、ロボット搾乳を導入する先進農家でもある。このほどロボットを最新型に更新した。

 同牧場が搾乳ロボットを取り入れたのは2005年。牧場長の陸央さんが、膝や腰の痛みを訴える妻の負担を軽減しようと導入を決めた。初期投資数千万円の経済的負担は大きいが、働く家族の健康維持や労働時間の短縮など得たものは多いという。

 今回更新したのは、旧モデルより省エネ性、作業性が高いオランダ製の最新機器。認定農業者を対象にした東京都の補助制度を使って導入した。

 しばらく牛舎を眺めていると、乳がたまって乳房が張ってきた牛が順次、自発的にロボットの場所に来て乳を搾られる様子がわかる。牛が欲するタイミングで乳を搾ることができるため、ストレスが減り乳量増加につながるという。

 ロボット導入により搾乳にかける時間が大幅減。後継者の久央さん(36)は「その分、飼料栽培など他の作業に時間が割けるようになった」とメリットを実感している。

 一方、酪農を取り巻く世界情勢は厳しさが増す。円安やウクライナ侵攻などの影響で春以降、えさ代は以前の2倍近い1㌔90円ほどに跳ね上がった。燃料費なども含む生産コストの大幅増加に対し、乳価は据え置きだ。

 久央さんは今後、他国の買い占めなどで輸入飼料が手に入らなくなる事態を見越し、飼料用デントコーンやトウモロコシの栽培面積を増やした。だが、全体の2割を自給するのがやっとという。

 厳しい状況を乗り越えるには、「牛乳に付加価値をつけて売ることがより重要になる」と久央さん。今後、ジェラートだけでなくチーズの加工も検討したいという。(伊藤)