小河内の鹿島踊、下平井の鳳凰の舞など41件 ユネスコ無形文化遺産登録へ

小河内の鹿島踊
小河内の鹿島踊

 盆踊りや念仏踊りなどの形で全国各地に伝承されてきた民俗芸能の「風流踊(ふりゅうおどり)」41件が、国連教育科学文化機構(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。西多摩では小河内の鹿島踊(奥多摩町)、下平井の鳳凰の舞(日の出町)が該当する。

下平井の鳳凰の舞
下平井の鳳凰の舞

 文化庁は1日、ユネスコの評価機関が登録勧告したと発表。28日からモロッコで開催される委員会を経て最終決定される。

 「小河内の鹿島踊」は、男性が女装し優雅に舞う踊り。1950年代の小河内ダム建設により閉ざされた南、岫沢(くきざわ)、日指集落で継承されてきた。一時途絶えたが、70年に元住民らが小河内鹿島踊保存会を立ち上げ復活させた。

 5月に会長になった島﨑富夫さん(69、青梅市千ヶ瀬町)は「ユネスコ登録はとても光栄。稽古を始めた子どもたちのモチベーションにつながり、長く続けるきっかけになればうれしい。登録を機に興味を持ってもらい、少しでも担い手が増えたら」と話す。

 「下平井の鳳凰の舞」は、もとは雨乞いや悪疫退散を目的として臨時に踊られてきたが、現在は地元の春日神社の秋(9月)の祭礼時に披露されている。小学生が舞う「奴の舞」と、中学生以上が担当する太鼓踊りの「鳳凰の舞」から成る。

 鳳凰の舞保存会の長田勝雄会長(78)は「踊り手、特に中学生以上をもう少し増やしたい。今後どう継承していこうかと思っていたところにユネスコ無形文化遺産登録はうれしい知らせ。コロナ禍で3年間、披露できていないが、来年こそは祭りが開催され、皆さんに見てもらえるようになれば」と願いを語った。(伊藤)