青梅市新町・若林商店 古瓶を再利用 酒蔵にも提供 50年の積み重ねが評価

「サイズはもちろん、色や王冠の違いなど、全て種類別に分けています」と若林社長
「サイズはもちろん、色や王冠の違いなど、全て種類別に分けています」と若林社長

 青梅市新町にある若林商店(若林和憲社長)は酒瓶をリサイクルセンターから回収して保管し、洗瓶センター(昭島市)を経て再び地元や都内の各酒造に卸している。

 同社は創業50年以上。使用済みで傷がなく、洗って再利用可能な「古瓶」を色、大きさ、種類別に丁寧により分け、同社敷地に5万本以上保管。必要に応じて卸す問屋業を営んでいる。

 酒蔵は酒の生産に合わせてバイヤーが瓶を調達するが、古瓶は検品等のコスト、輸送中の破損リスク等があるため、コロナ以前は新瓶を使うのが主流だった。

 コロナ禍で増えた宅飲みに対応した四合瓶の需要が高まり、瓶メーカーは一升瓶の生産量を減らし四合瓶を多く作るように。大手酒蔵が生産量の減った一升瓶を買い占める事態となり、中〜小規模の酒蔵に新瓶が行き渡らなくなっているという。

 これまで新瓶と古瓶の使用割合は7対3程度だったが逆転するほど古瓶の需要が伸び、西多摩地域唯一の空びん問屋である同社のもとには多くの注文が入るようになった。西多摩に限らず、関東近県や中部地方から注文が入ることもあるという。

 地域で瓶のリサイクル循環を担う仕事が評価され、若林社長(50)は昨年2月、西武信金の推薦でNPO法人環境文明21主催(環境省後援)の環境、経済、社会的な貢献を表彰する「経営者『環境力』大賞」を受賞した。

 若林社長は「私たちにとっては当たり前の仕事だが、外から見て評価されたのはありがたいこと」と話し、「瓶は洗って繰り返し使えるので環境に良い。瓶の魅力を知ってもらえたらうれしい」と語った。(藤野)