羽村市 日都産業 確かな技術と斬新なアイデアで挑戦し続ける遊具メーカー

長年愛され続けるグローブジャングル
長年愛され続けるグローブジャングル

 子どもの頃に夢中になって遊んだ公園遊具は私たちの冒険心や挑戦する心を育み、ワクワク感を与えてくれた。そんな遊具を製造する日都産業(本社・杉並区、山中慎吾社長)の工場が羽村市神明台にある。1939年創業の同社は、すべり台やブランコ、ジャングルジムなどの遊具だけでなく、公園にあるぶら下がりなどの健康器具、屋外用のベンチなどさまざまな製品を手掛けている。

「このニットマークを探してください」と話す永尾工場長(左)と小林課長
「このニットマークを探してください」と話す永尾工場長(左)と小林課長

 同社は数あるメーカーの中でも業界初の取り組みに挑戦し続けている。57年には地球儀型の回転式ジャングルジム「グローブジャングル」を開発。84年には「公園用健康器具」の販売を開始。90年代からはバリアフリーの発想を取り入れた遊具の開発に着手し、養護学校に「車椅子乗りぶらんこ」等の遊具を設置している。

 また近年の温暖化で遊具が熱を持ち、やけど等の危険性が問題となったことから2020年、耐久性の高い樹脂素材をすべり面に使用した「すべろんぐ」を開発。夏場でもすべり面が熱を持たないだけでなく、冬場の静電気も防げる画期的な商品だという。

 そんな同社が今、力を入れるのは2020年に都立砧公園(世田谷区)に国内初設置した「インクルーシブ遊具」の開発。同園に設置したのは体を支える力が弱い子どもも楽しめるよう背もたれやベルトの付いたブランコ、歩行器や車いすに乗ったまま遊べる通路の広い迷路などが特徴的な複合型の遊具。

 デザイン課の小林課長は「インクルーシブ遊具は障害の有無、年齢、性別に関わらず皆が楽しめるもの。子どもたちが遊具を通して多様な人と出会い、楽しさを分かち合えるような商品を開発し続けたい」と今後の目標を語る。

青梅市のわかぐさ公園に設置した遊具のパース。このイラストをもとに図面を起こすという
青梅市のわかぐさ公園に設置した遊具のパース。このイラストをもとに図面を起こすという

 そんな業界初の取り組みを支えてきたのは確かな技術を持つ職人たち。製造に必要な機械があれば自作し生産効率の向上を図る。またメンテナンス専門部署もあり、職人らは定期的な点検と確実な修繕で、子どもたちの安全を守っている。

 永尾重光工場長は「鉄製の部品からゴム製などの細かな部品にまで『ニットマーク』を付けている。それは職人たちの自信、商品の高品質の証です。日都が作った遊具を探してもらい、たくさん遊んでもらえたらうれしい」と話した。(鋤柄)