第二の人生、山を整備 1年半かけ、憩いの場作る 日の出町大久野 橋本昇夫さん

丸太を彫って作ったオブジェの横に立つ橋本さん
丸太を彫って作ったオブジェの横に立つ橋本さん

 日の出町大久野の招魂社から愛宕神社、白山神社までの山道が整備され、半年ほど前から近隣住民の憩いの場になっている。整備をしたのは招魂社近くに暮らす橋本昇夫さん(70)。山林所有者の了承を得て獣道同然だった山道の草木を刈り、階段を作り、道標を立て、子どもも大人も安全に楽しめる散歩コースに整備した。

 橋本さんが作業を始めたのは1年半ほど前。退職後の健康づくりとして自宅裏の山を散歩したいと考えたのがきっかけだった。鎌やスコップ、ノコギリを持って山に入り、少しずつ整備した。今でもほぼ毎日山に入り、作業を続けている。

 凝り性の橋本さん。整備だけでは飽き足らず、石や枝などで道中にオブジェを作り始めた。枯れたシュロの木と石で作った人形、石を積み上げた灯籠、野鳥のための餌台… 。次は作業中に見つけた石碑前に鳥居を作る計画。

 橋本さんをまねて石を積み上げていく人、餌台に「すてきな作品がいっぱいですね」と書いた手紙を置いていく人なども現れた。「楽しんでもらえていることがわかると俄然やる気になります。次は何を作ろうかいつも考えていますよ」と話す。

シュロの木で作った「童 シュロッコ」
シュロの木で作った「童 シュロッコ」

 昨年4月までの45年間、結髪師として芸者や結婚式用の日本髪のかつらを結ってきた。コロナ禍で仕事が激減したことに加え、共に仕事をしてきた師匠が亡くなり、やむなく廃業を決めた。それ以降、山の整備だけでなく、畑仕事、庭いじり、シルバー人材の仕事など、第二の人生をスタートさせた。

 橋本さんは「髪結いの仕事が忙しく、これまで地域の人との交流はほとんどなかった。今は、山整備やシルバーの仕事で知り合った人たちとの交流を楽しんでいます。皆さんにさらに楽しんでもらえるよう、山道整備も続けていきます」と笑顔で話した。(鋤柄)