あきる野市議会 4議員が質問 五日市駅前活用テーマに

 あきる野市議会9月定例会一般質問の注目テーマは、武蔵五日市駅前市有地の活用について。今定例会中、最多の4議員が同一テーマを取り上げた。このうち天野正昭氏(自民党志清会)は、五日市のまちづくりが活発化し市有地活用を求める声が高まっているとして駅前整備を早急に進めたいとする中嶋博幸市長の考えを後押しする立場から、辻淑子氏(くさしぎ)は、住民からの意見聴取や合意形成が不十分との視点から、それぞれ質問した。(伊藤)

 武蔵五日市駅前市有地は、図で赤く囲った約5343平方㍍の区域。1992年、当時の五日市町が都の補助を受け取得した。目的は、秋川流域4市町村(秋川市、五日市町、日の出町、檜原村)が流域の活性化に向け共同で使用する施設を整備するためだった。

 その後、流域で協議を続けるも、バブル崩壊など社会情勢の変化により当初予定した施設整備には至らなかった。

 2006年以降は暫定的に駐車場として利用しつつ、あきる野市では11年に駅利用者や秋川流域の事業者などにアンケート調査し、市有地活用の方向性などについて検討結果報告書をまとめた。これを具体化するため14年には首都大学東京に委託し活用計画への提言を受けた。

 今年8月に市が公表した市有地活用計画は、11年の報告書や14年の提言書を基本とし、その後の社会環境の変化を踏まえ、複数の市民団体からの提案なども参考に策定したもの。 

 これによると、市有地活用の基本理念は「活力と創造力を満たす学習の場」〜みんなのWell-beingの実現のために〜。理念に基づき、整備する施設には情報発信、集会・交流、憩い・避難所と駐車場機能を持たせるという。

 天野氏は市有地活用に向けた市長の熱い思いを聞かせてほしいと本人に答弁を求めた。市長は、自身が議員になる以前からまちづくり団体や多くの有識者と駅前活性化について十分な検討を重ねてきたとし、土地を活用しない場合は都からの補助金返還要請もある中で、「これ以上、先送りすることはできない」との政治判断から整備着手を決めたと説明した。

天野氏、市長判断を後押し
辻氏、合意形成の認識問う

 天野氏の質問に市が答える中で、施設の延べ床面積は約400平方㍍、多摩産材を使用した木造平屋建てを想定していることや、今年度に設計、24年度に工事、25年度に運用開始予定であることなどが分かった。

 辻氏は30年以上、手つかずだった土地を活用するには、市長が議員時代に築いてきた人脈だけでなく、改めて広く市民の意見を聞き、合意形成を図りながら慎重に進めていくべきだと主張。市有地活用について市長が考える合意形成の在り方を聞いた。市長はこれまでの検討の経緯やパブリックコメントの実施状況などを示しつつ、「しっかりと皆さんの意見を聞きながら、良い指摘等は取り入れていく」と答弁した。

 辻氏は「取り入れる、入れないではなく、みんなで一致できるゴールを探ること」と、合意形成は両者の歩み寄りによって図られると指摘。市長は、これまでの過程でも合意形成は十分行われているとし、計画内容を丁寧に説明しながら事業を進めていく考えを示した。