あきる野市三内　レストラン「ラルブル」　築150年の都文化財住宅で　東京の食材で唯一無二のフレンチを

　築１５０年、都指定有形文化財のしゃれた建物で東京の食材をふんだんに使ったフランス料理を提供する店が昨年10月、武蔵五日市駅から徒歩15分のあきる野市三内にオープンした。レストランL`Arbre（ラルブル）。シェフの松尾さん（41）は、料理を通して西多摩を中心とした東京産の食材の豊かさと、土地に伝わる文化の尊さを伝えていきたいという。

　松尾さんは瑞穂町出身。フランス料理に携わって20年という経歴の中で帝国ホテル内レストランの副料理長を務め、フランス・パリの三つ星レストランでの勤務経験を持つ。 自店を構えるにあたり世界各地の食材が集まる都心でしのぎを削るよりも、「東京らしさ」にとことんこだわった唯一無二の店を作りたいと、出身地の西多摩に新天地を求めた。

　３年前、自家菜園を探す中で五日市の農業コミュニティー「ヤマニファーミング」と出会い、グループの一員として畑を耕し始めた。積極的に地域に溶け込もうとする松尾さんを地元の人が応援。率先して縁をつないでくれ、開業物件の「小机家住宅」にたどり着いた。

　文化財という特別な場所で提供する、特別な料理。メニューは東京軍鶏、養沢ヤギチーズ、たかさん豆腐など地域の特色ある食材と自家栽培を含む地場野菜を使い、１カ月半ごとに作り変える。ユニフォームのボタンに絹織物「黒八丈」を、ランプシェードに手すき和紙「軍道紙」を用いる。　

　松尾さんは「シェフの自分が生産者（作家）とお客さんのつなぎ役になり、文化や風土を含めた地域の魅力を丸ごと伝えていけたら」と話す。

　開店から約３カ月。コース料理を利用する客の大半は口コミや紙メディアで店の存在を知った都心のアナログ世代で、手ごろ価格のメニューを提供する木曜は地元客が中心という。

　営業時間は金曜〜月曜がランチ12時または12時半スタート。ディナー18時または18時30分スタート。原則コースのフランス料理で、ランチが１万３２００円（平日限定９９００円）、ディナーは１万４８５０円と１万７６００円。木曜は席のみの予約でランチ11時30分〜14時30分、ディナー18時〜21時。「気まぐれメニュー」２２００円〜。火曜・水曜定休。

　電話に出られないことも多いためネット予約が確実。問い合わせは０４２（５９６）００６８まで。（伊藤）