20年の活動に幕 自然を昔に戻す会 あきる野市

あきる野市の小宮、戸倉、五日市地区で活動する「自然を昔に戻す会」(戸倉一会長)が来年3月の総会をもって解散する。発足から丸20年。立つ鳥跡を濁さず、気持ちよく解散の日を迎えようと、活動拠点としてきた同市乙津の畑で物置の解体など片付けが行われている。
同会は1999年、初代会長の浦野昭寿さんの呼び掛けで同市西部の市街化調整区域にあたる17の自治会長を会員に発足した。95年に秋川市と五日市町が合併しあきる野市が誕生したものの西部地区は一向に良くならず、「地域のことは自分たちで取り組まなければ」という思いが当時の自治会長らにはあった。
活動の柱に据えたのが日陰対策。日照を妨げるスギ・ヒノキを切る代わりに広葉樹を植え、間伐した竹で炭を焼く。活動を通して子どもの頃に遊んだ山や川の景色に少しでも戻し、次の時代に引き継ぎたいとの思いから、浦野幸三さんの提案で会名を「自然を昔に戻す会」とした。
20年間で約9000本を伐採、8000本の広葉樹を植えた。地区内の日陰をなくそうと始めた取り組みが行き渡り、目的を達成したことから解散を決めたという。
先月29日には、広葉樹の苗の栽培や炭焼きに使ってきた初代会長の浦野さんの畑を耕し、きれいな状態で返せるようにした。
会員になって10年以上の岡部輝男さん(80)は「仲間と一緒に作業して、合間に話をするのは張り合いがあった。一杯飲むのも楽しかった」と振り返る。戸倉会長(78)は「一生懸命取り組んで地域の人に喜んでもらい、やり切ったという感じ。うやむやに解散するのでなく、きっちり片付けてやめられることに満足です」と話した。(伊藤)