アトリエKiki  草木染め、木工アクセサリーづくり楽しむ

41706550_231537451045806_3173684740993581056_n 昨今、生活圏内での人々の交流が少なくなり、隣近所に誰が住んでいるか分からない、地域に属している感覚がないといった風潮が進んでいる。一方でそんな世の中だからこそ新しい人間関係を築きたいという気持ちを抱く人たちの増加とともに、「コミュニティスペース」「シェアスペース」と呼ばれる施設が全国的に増えている。
9日、青梅市師岡町にあるアトリエKikiのものづくりスペースがオープンした。Kikiは〝週末を親子みんなで楽しむ〟をコンセプトに、ものづくり・料理・カフェを3本柱としたコミュニティシェアスペースだ。
住宅街の路地を抜けると出迎える、雰囲気の良い日本家屋は、代表の吉野知喜さん(28)がかつて家族と住んでいた一軒家。引っ越したために長らく物置状態になっていたが、再び住むために片付けていたところ、一人暮らしをするには広すぎるということで、地域に開放することにしたという。開業資金はインターネット上で共感した人から協力してもらうクラウドファンディングで集めた。
今回のイベントでは、ものづくりスペースでの草木染め、木工アクセサリーづくりのほか、同市内の間伐材を再利用した積み木ゲームなどのアクティビティが用意された。
草木染めを教えるのはアトリエの近くに住む保育士の小川佳那恵さん。庭や道路に咲いている草花を摘み、配置を考えながらガーゼと布で挟んで木槌で叩く。するとガーゼが色鮮やかに染まった。目を楽しませてくれるだけでなく、ひと手間加えたことで愛着が湧く。代表の吉野さんは「ものづくりを通して、その楽しさやモノを大切にする気持ちを培ってほしい」と語る。
吉野さんは普段、オーダーメイド家具を販売する会社で働いている家具職人だ。今回Kikiにものづくりスペースを設けようとしたきっかけは、ホームセンターに立ち寄ったときのことだという。実はホームセンターにはそれぞれカルチャー教室の一環として木工体験がある。だが、日時や人数が限定されており、思い立ったときに手軽にとはいかない。そこで、ものづくりを子どもたちに身近なものにしたいと今回のスペースが生まれた。
参加者は市内外の親子連れを中心に、老若男女さまざま。中には吉野さんが発信しているSNSを見て興味を持って訪れたという人もいた。今回初めてアトリエに来たという近所の男性は「定年退職した後、趣味で何か新しいことをしたいと思っていた。これからここへ足を運ぶことで、自分のやりたいことが見つかるかもしれない。楽しみにしている」と笑顔で語った。
今後は、年末に再びクラウドファンディングを行い、カフェスペースの改装を始める予定。今回のイベント中も子どもと参加した母親から「最近は畳の無い家ばかりなので、畳の広間があるのはうれしい。畳が柔らかいので室内でも子どもたちが思う存分遊べて、親も常に子どもたちを視界に入れておけるので安心できる。せっかくあるのなら生かしてほしい」という要望を受け、早速予定していたカフェの構想を再検討し始めていた。
すべて完成するのは来年末を予定。今後もKikiの活動に注目していきたい。(田中)