水の戸沢小水力発電所 都内初 檜原村神戸に開設 檜原水力発電が運営
檜原水力発電(檜原村神戸、荻原直樹社長)が運営する水の戸沢小水力発電所(同村神戸)の見学会を兼ねた落成式が11日、神戸国際マス釣場で開かれた。国、都、村議会議員ら来賓約25人が、中小企業による都内初の小水力発電所の誕生を祝った。
小水力発電所とは、出力1000㌔㍗(毎時)以下の小規模な発電所のこと。水の戸沢小水力発電所は、沢に沿って全長900㍍の導水管を設置、自然の高低差(91㍍)を利用した水の勢いで水車を回し、最大49㌔㍗を発電する。4月27日に操業を開始して以来、常に60%以上の稼働率を保ち、「順調中の順調」と荻原社長(29)も顔をほころばせる。
発電事業の発案者は、同社の母体である建設会社「翠高庭苑」(同村神戸)の大谷高男社長(60)。「自宅が川のそばにあり、子どものころから川で水車が回るのを見て育った。前から発電に利用できないかと思っていた」と、7、8年前から構想を温めてきたという。
だが、いざ事業を始めるには都の管理下にある秋川の本流では水利権の許可を得るのが難しいと判断。村が管理する沢に目を付け、5年前から独自に村中の沢を調査。発電に適した水量と高低差を併せ持つのは水の戸沢しかないという結論に至り、許認可手続きを進めた。
開業に際し地域ビジネスを支援する西武信金と日本政策金融公庫から3500万円ずつ融資を受け、オーストリア製の高性能の発電設備を導入した。東日本大震災の原発事故を機に世の中の自然エネルギーに対する関心が高まったことが事業化を後押ししたという。
落成式にはオーストリア大使館の要人も出席し、井上信治衆院議員、田村利光都議、森田ちづよ村議会議長らと並び祝辞を述べた。坂本義次村長は乾杯の発声を行った。(伊藤)