ゴッホの「種まく人」で巨大貼り絵 つながり、輝きテーマに海外含む生徒200人超が参加 都立福生高校

ベニヤ板50枚超の大作を生徒らが除幕

都立福生高校の生徒が手掛けた巨大貼り絵が完成し、11日にお披露目された。海外交流校2校を含め200人を超す生徒が制作に参加。コロナ禍で人との交流が制限される中、作品を通じて人と人とがつながる尊さを表現したという。(伊藤)

完成した貼り絵は校舎の3階に届かんばかりの大きさ(高さ8・1㍍、幅10・4㍍)。ゴッホの代表作の一つ「種まく人」をモチーフに100色以上の色紙を貼り重ねて作った。画面の上部5分の1ほどを占める明るい太陽が印象的だ。テーマは「輝かしき世界歩みは繋がりの先へ」とした。

巨大貼り絵の制作は7年目。美術部の生徒を中心に取り組み、9月の文化祭で発表するのが恒例となっていた。今年はコロナ禍で文化祭を含む大半の行事が中止に。発表の場は失っても貼り絵は作りたいという生徒の強い希望で制作の運びとなった。

臨時休校中の4~6月、美術部(岩渕琴音部長)の生徒と顧問の松岡健太郎教諭は週1回の頻度でオンライン会議を行い、題材とする作品やテーマを決めた。学校再開直後から準備に取り掛かり、8月下旬~11月上旬に制作した。

15人の美術部員を中心に美術選択の生徒201人と有志数人、外国語科の川崎佐智子教諭の提案で協力を呼び掛けた台湾・マレーシアの中等教育学校2校の生徒が数十人ずつ参加した。

美術選択の生徒は、1人当たりベニヤ板4分の1の面積を担当。3密を避けるため模造紙を持ち帰って作業した。海外の2校にはビデオレターで作業工程を解説し、太陽と周辺の背景を左右で担当してもらった。英語部が通訳で協力した。

除幕式で部長の岩渕さんは「今年は(新型コロナで)非常に暗い年だった。太陽で世の中を明るく照らせたら、見た人を勇気づけられたらという思いで取り組んだ」と作品に込めた思いを明かした。制作を通じて大勢の人とのつながりを意識する一方で、担当者によって異なる色使いを調和させる修正作業に苦心したと振り返った。

作品は23日までの9時~17時、同校中庭で公開している。一般見学可。問い合わせは042(552)5601同校まで。