台風19号 西多摩に爪痕 日の出町大久野で道路寸断

台風19号により山間部に大量に降った雨は秋川のほか、多摩川、平井川、幾多の支流で猛威を振るい、日の出町大久野の細尾では道路が50㍍余り崩落し、上流の130世帯ほどが孤立した。あきる野市や青梅市、奥多摩町、檜原村では土砂崩れが相次ぎ、道路を不通にした。あきる野市の小和田グラウンドや羽村市の宮の下運動公園など各地で河川敷のグラウンドや公園が水をかぶり、使用不能になった。
西多摩8自治体には大雨特別警報が出され、各自治体は浸水想定地域や土砂災害警戒地域に住む住民などに避難を勧告や指示を出した。その間にも河川の増水は勢いを増し、自治体によっては避難者の数に避難所が間に合わず避難所開設に追われる事態も起きた。
京浜河川事務所の水位観測所では、多摩川の調布橋付近、福生市の睦橋上流で危険水位を超え、越水直前まで水が迫った。激流は下流の日野橋に崩落寸前の損傷を与え、世田谷区玉川付近で氾濫した。
小河内ダムは前日の11日午後2時からダムの容量を増やすための余水吐放流を実施。順次増量し、最大毎秒600㌧を放流し、大雨に備えた。それでも降雨が予想を上回り、12日午後6時以降は放流を毎秒730㌧に増やした。
瑞穂町を除く西多摩の7自治体には災害救助法が適用された。速やかな復旧事業の推進が求められる。同時に教訓として、台風への認識を深めること、認識を深めたうえで実践的被害想定に生かすことが大切になる。後手後手に回っていては住民の命は守れない。