檜原ライフスタイルラボ共同代表 佐藤乃理子さん「元気の源探しに檜原へ」 

「都会の暮らしに疲れたら、刺激、癒やしを求めて檜原村へ」という佐藤さん

週3日は都心で産業医として活動。残り4日は檜原村で過ごし、このうち1日は村の診療所に勤務する―。昨年6月、世田谷区のマンションを引き払い、檜原に住居を移して以来、都市と山村の2拠点生活を続けている。

昨年11月、医療経営が専門の神戸翼さんと共同で同村三都郷に㈱檜原ライフスタイルラボを設立。事務所を置く「檜原おいねハウス」を拠点に、ヘルスプロモーション(健康増進)とワーケーション(仕事と休暇の両立)の2本柱で事業展開を模索している。

ワーケーション事業で受け入れを想定しているのは都会の企業。「自然豊かな檜原で、非日常の生活を共にすることで互いの人となりを知ることができる」と、共同でプロジェクトに取り組む際の組織形成などに役立ててほしいという。

まずは同社の取り組みやフィールドを知ってほしいとの思いから、週末ごとに畑仕事の会や地元食材を使ったランチ会などの体験会を企画。都会から参加者を受け入れている。

参加者が自然の中で体を動かして気持ちいいと感じたり、檜原で会った人とまた会いたいと思ったりすることが健康につながるという。「人は、やりたいことがあれば元気でいられる。やりたいこと、元気の源になることを檜原に探しに来てほしい」

群馬県太田市の医師の家庭に育つ。自らも医師を志し、2002年に医師免許証を取得。泌尿器科医として愛知県内の大学病院に勤務する傍ら、がん治療薬の基礎研究に従事。その後、厚生労働省に出向、臓器移植対策にも携わった。

超多忙な臨床医の時代から、努めて外の世界の人とつながるようにしてきた。異業種交流会などで知り合った友人たちと適度な距離感で良い関係を築いており、「緩やかなつながりをたくさん持っていること」が今の自分を支えているという。

人と人が出会うことで新しい発想が生まれ、新たな世界が開ける「化学反応」のような体験を何度となくしてきた。自身が取り組む新たな事業でも、こうした機会を演出できればと願う。(伊藤)