檜原の陶芸家、菊池一麿遺作展 17日~自宅ギャラリーで

バラエティーに富んだ作品が並ぶ会場

モダンで繊細な作品を多く手掛け、「マロ陶芸工房」を主宰していた菊池一麿さんの遺作展が17日~30日、檜原村南郷の自宅兼ギャラリーで行われる。妻幸子さん(71)と長男哲平さん(42)が「作品を楽しんでもらうことで夫(父)の供養になれば」と1周忌を前に披露の場を設けた。

一麿さんは新宿生まれ。東京藝術大学、同大学院を卒業後に独立し、銀座・和光で計11回の個展を開催した。その間、制作の場を都会からあきる野、檜原に移した。1992年から昨年11月にくも膜下出血で急逝するまで30年近くを檜原で過ごし、10年前には下川乗の自治会長も務めた。

一麿さんの制作風景

約50年の作陶生活で一貫して釉薬(うわぐすり)を使って模様を描く釉彩技法を研究してきた。青磁に木々の葉脈模様を細筆で忠実に描き込み、白色釉薬を吹き付けて表情をつけた作品が有名。2006年、第46回伝統工芸新作展で日本工芸会東日本支部長賞を受賞するなど高く評価された。

遺作展では、藝大の卒業制作から病に倒れる前日に手掛けていた作品まで、蔵出し品も含めて一挙に展示・販売する。芸術的要素の強い作品だけでなく、銀座・和光の個展で人気を集めた花をモチーフにしたカップや普段使いの食器なども並べる。

価格は求めやすさを意識して1000円台から用意した。新型コロナ対策で村民1人当たり3万円分配布された「檜原村地域振興券」も利用できる。

「一陶芸家の半世紀にわたる仕事ぶりを見ていただき、気に入った作品があれば飾ったり使ったりしてほしい」と幸子さん。哲平さんは「父は素晴らしい作品をたくさん遺した。しまっておくより皆さんに使って楽しんでもらった方が父も喜ぶと思う」と話す。

展示時間は10時~16時。会場は下川乗会館近く。問い合わせは090(1556)7704まで。(伊藤)