檜原村人里の「なつはぜジャム」 素朴で温かみあるラベルに一新 手土産としての定着目指す
檜原村人里に育つナツハゼを村の名物に育てようと、同村上元郷で食品加工所「ひなたぼっこ」を営む鈴木留次郎さん(74)がジャム作りを始めて3年目。ラベルを一新し、商品価値を高めて手土産として定着させたいという。(伊藤)
ナツハゼは、ブルーベリーと同じツツジ科の落葉低木。夏にハゼのように紅葉することからこの名がついた。各地の山に自生しているが栽培例は少ない。果実にブルーベリーの3~4倍ものアントシアニンを含む健康食品だが、酸味が強く、そのままでは食べづらい。
鈴木さんはナツハゼの果実とグラニュー糖だけでジャムを作る。「さわやかな酸味と滋味をなるべくそのまま味わってほしい」とレモンも加えない徹底ぶりだ。
新しいラベルは、紅葉した葉と完熟の実のイラストに「人里」の文字を加えたデザイン。あきる野市養沢の上垣智弘さんが手掛けた。「素朴で温かみがあり、商品の良さが伝わる」と鈴木さんも気に入っている。
人里のナツハゼは、檜原に別荘を所有していた都心の大手果物店の社長が40年近く前に周辺の山から移植したもの。その後、地主に木の所有権が移り、数年前から鈴木さんが管理を引き継いだ。
傾斜地の畑に70本ほどが植わる。世話をして気付いたのは、強い酸味のせいか「鳥も猿も実を食べない」こと。獣害の多い檜原には最適の作物というが、苗木が手に入らないのが難点。挿し木で増やそうと試みたが、まだ成功していない。
鈴木さんは「ナツハゼはここにしかない貴重な植物。数少ない檜原土産の一つになりうる」と期待する。ジャムは120㌘入り1瓶600円(税込)。村内の山の店、喫茶せせらぎ、たなごころなどで扱っている。