檜原村 「御とう飯」は行わず 450年目の御とう神事

都無形民俗文化財に指定されている檜原村本宿、春日神社の御とう神事。毎年3月1日深夜から2日早朝にかけて行われるが、コロナ禍の今年は神事の要とされる「御とう飯」は行わず、宮司の祝詞奏上のみに簡素化して執り行う。

同神事は「御当番」と呼ばれる参加者が、火打ち石でおこした火で米を炊き、茶碗に山盛りにした「御とう飯」を神前に供え、五穀豊穣を祈願するもの。火をおこす前、御当番がふんどし一丁で秋川に入り、身を清める「禊(みそぎ)」から始まる長丁場の神事だ。野外とはいえ御当番同士が密に接する場面が多いため、今年は見合わせることになった。

神社に伝わる「御とう帳」によると、開催は今年で450年目。もとは本宿、上元郷地区の氏子から御当番を出すのが習わしだったが、志願者の少ない年には氏子外からの参加も受け入れ、絶やさず続けてきた。そんな経緯がある中で「御とう飯」の中止を余儀なくされ、神事の役員らは「節目の年なのに…非常に残念」と話している。(伊藤)

とう=食編に同