「八重菊」の羽織を寄贈 石川酒造から森田家へ 立会人は田村酒造

150年を経て3家がそろった。「八重菊」の羽織を披露する石川社長、森田さん、田村社長(右から

江戸時代、あきる野市小川にあった森田酒造の清酒「八重菊」が昨年復活したのを記念して11日、酒造元の石川酒造(福生市)から原料生産者で森田酒造の子孫、森田家に「八重菊」の文字の入った羽織が寄贈された。石川酒造の石川彌八郎社長(56)から森田家の森田康大さん(51)に羽織が手渡された。田村酒造(福生市)の田村半十郎社長(62)が立会人を務めた。

森田家の奥の間であったセレモニーはイベント好きな石川社長の企て。石川家に伝わる酒造りに関する史料によると、石川家は明治元(1868)年から同14(1881)年に福生市熊川に酒蔵を構えるまで、森田家の蔵を借りて酒造業を営んでいた。その際、蔵の貸請証文に証人として記載されていたのが、田村酒造の田村勘次郎だった。今回の羽織寄贈で、明治から150年以上の時を経て3家が森田家の奥の間に集った。

寄贈の羽織は、石川社長が義父から譲り受けた羽織の背中の部分に「八重菊」の文字を加えたもの。義父の家は「浦霞」の蔵元、宮城県塩釜の佐浦であり、襟の裏側に「サウラ」の文字が入っている。

ちなみに石川社長の母は森田家の出身、祖母は田村家で生まれており、石川家と森田家、田村家は親戚ということになる。羽織を贈られた森田さんは「結構なものを頂戴しまして、森田家の家宝にしたいと思います」と礼を述べた。石川社長は「コロナで大変な時期だが、我々は親戚なのだから助け合っていきましょう」とあいさつした。

森田さんの地元、二宮商栄会のプロジェクトとして復活した清酒「八重菊」は今シーズンで2作目。小川地区のコシヒカリを原料に香りと旨味を引き出す2種類の酵母を使って石川酒造が仕込んだ。18日に搾り、4月4日に720㍉㍑と300㍉㍑瓶を販売予定。(伊藤)