多摩産材屋台がウッドデザイン賞 美光印刷×五ノ神製作所 温もりあるデザインで

多摩産のスギ、ヒノキで作った屋台。上部の曲線が木の柔らかさを際立たせる

青梅市新町の美光印刷(加羽澤光輝社長)とラーメン店五ノ神製作所(伊藤真啓社長)が共同製作した多摩産材リヤカー屋台が、ウッドデザイン賞2020を受賞した。上部の曲線がポイント。木の温もりが人を呼び、客寄せ効果は抜群という。

同賞は木の良さや価値を再発見させる製品、取り組みについて消費者目線で評価、表彰するもの。6回目の今回は応募総数432点の中から3部門で191点を選出。多摩産材リヤカー屋台は、木を使って地域や社会を活性化する製品としてソーシャルデザイン部門で受賞した。

製作のきっかけは2019年5月、青梅青年会議所で活動を共にする美光印刷専務の加羽澤綾さん(38)と宮﨑太朗さん(41)が会議所の例会で青梅林業研究グループの講演を聞いたこと。木が使われず、山の管理が行き届かない現状を聞いた2人は「多摩産材で何か作れないか」と思い立った。宮﨑さんがラーメン店を経営する知人の伊藤さん(41)に話し、伊藤さんの提案で多摩産のスギ、ヒノキを使った屋台を作ることに。

会社の将来を見据え、印刷業に加えて新たな事業を模索していた加羽澤さんは19年12月に木材加工部を立ち上げ、宮﨑さんの紹介で木材加工経験の豊富な小林解男さん(49)を採用。屋台の製作に取り掛かった。20年の東京五輪で東京の産物に注目が集まると、ある程度の売り上げを見込んでいた。

3月に初作が完成。同時にコロナ禍に見舞われ、加羽澤さんも伊藤さんも予定が狂った。ただ、感染者が減ったタイミングであったイベントに伊藤さんが出てみると、客の反応は予想以上だった。「お客さんの方から屋台に寄ってきて、人を集める効果は絶大。ラーメンも3割増しくらいでおいしそうに見える」と、冗談交じりに手ごたえを説く。

加羽澤さんは受賞を追い風に屋台のPRに本腰を入れるという。同社では現在、量産型のリヤカー屋台を製作中。販売価格は70万円前後を予定。物販や飲食など目的別にオーダーメイドの製作も受注している。問い合わせは0428(30)5433まで。(伊藤)