Ome Forestory 青梅市内の林家、作家が協働 森林の継続的な育成を

中島さん(中央)が製材した木の前で、安達さん(左) と木工作家の海老名康一さん

東京Forestory Marketing(青梅市住江町)の代表でありマーケターの安達隆男さんが発案し、展開するOme Forestoryは、同市の林業家や材木店、木工作家らと独自のネットワークを作り、森林の継続的な育成に向けた、新しいビジネス形態を立ち上げようとしている。

活動のコンセプトは「人と森林が共に育み合う社会の実現に向けて、森林の恵みを、体験や家具・グッズとして街に届け、その価値を森林の育成にダイレクトに還元する」というもの。

家具や時計などの木工製品を販売するだけでなく、購入者に森林の散策を楽しんでもらいながら、そこで出合った木で作る家具の制作プロセスも楽しんでもらう、モノとコトを提供する商品も企画している。

日本の森林は十分に人の手が入らず、元気があるとは言えない。補助金などの支援もあるが、林業家が手塩にかけて育てた木を市場に出荷しても、森林の保全や人材育成に資金が十分に回らないのが現実だという。若い林業者が職を離れてしまう例も少なくない。

これまで利益の多くは販売業者などに流れてしまうことが多かったが、ウェブマーケティングのインフラが整備された現在は、消費者と直接結びつく役割を山側が担うことが可能だ。SNSで顧客の共感を醸成しつつ、オンライン上のECサイトと実店舗での販売を展開し、資金の流れをコントロールすることで、森林に直接、利益を還元できると安達さんは説く。

Ome Forestoryは4年ほど前、産業能率大学(世田谷区)で「創造型のマーケティング」の教鞭をとりながら、森林の抱える課題に取り組んでいた安達さんが、中島林業(同市成木)の中島大輔さんと出会ったことからプロジェクトが動き始めた。

小田原さんがデザインした椅子はネッツたまぐーセンター に寄贈された

昨年11月、東京芸術大学で講師を勤めたデザイナーの小田原健さんの協力を得て、中島さんが育てた一本の杉から、mo-guz(同市成木)の松永昭彦さんが椅子やテーブル、ソファを制作。一本の木から作られた製品と、それが生まれるまでの物語を合わせた展示を、ネッツたまぐーセンター(同市上町)で開催したのを機に、ビジネスモデルの形が見えてきた。

その後、3人の木工作家がメンバーに加わり、来年2月にはリビングセンターOZONE (新宿区)で新商品を発表する。

安達さんは「社会貢献とビジネスを両立させることは容易ではない。これからの活動は社会ニーズを満たしつつも、消費者の日常心理に寄り添う商品作りが鍵を握る」と語った。(鋤柄)