「残コン」を出さない、減らす努力を 日の出町 小澤総業が提案 

作業現場の小澤社長

一般にはあまり知られていないが、近年、食品ロスより深刻との指摘もある「残コン」問題。残コンとは建築現場などで出る余剰の生コンクリートのことで、再生利用が進んでいない現状がある。「残コン」が生じる背景やその問題点について、コンクリート圧送業者「小澤総業」(日の出町平井)の小澤辰矢社長(38)に聞いた。(伊藤)

小澤社長によると、残コン発生の最大の要因は「先行モルタル」と呼ばれる、コンクリート圧送車の管に生コンをスムーズに流すための資材だという。生コンを直に流そうとすると管にコンクリートがへばりつき詰まってしまうため、多くの現場ではセメント、砂、水を混ぜたモルタルを先に流して生コンの流れを誘導している。先行モルタルは型枠の中に混ぜてはならない決まりがあり、産業廃棄物の「残コン」として圧送業者が処分を強いられている。その量は一現場で0・5立方㍍(1㌧程度)。全国単位でみると1日に2500立方㍍に上り、10階建て集合住宅1棟分の施工に値するという。

かねて環境問題に関心の高かった同社は、モルタルに代わる先行材「エコスル」を独自に開発し、このほど発売した。「エコスルは100%食品添加物で作った先行材。これを1袋使えばモルタルを作る手間が省ける上に残コンが出ない。値段はエコスル600円、モルタルが1万5000円。これまでより大幅に経費を削減できる」と小澤社長は環境にも財布にも優しい商品だと説く。

残コンを固めて砕き、再生砕石として再利用する動きもあるが、再生材の使用はJIS(日本工業規格)から外れるため、建設業界全体では大きな流れになっていないという。

小澤社長は「コンクリートを作るには砂利が要る。資源の少ない日本で、これ以上無駄に山を削るわけにもいかない」といい、限りある資源を有効利用できる仕組みをJISの見直しも含め業界全体で考えていかなければいけないと訴える。

***10/28号より追記

先行モルタルは産業廃棄物として圧送業者が処分を強いられる」とありますが、圧送業者が処分するのはコンクリートポンプ車の中に残った生コンでした。お詫びし訂正します。