青梅線沿線をホテルに 実証実験で高評価 鳩ノ巣駅は観光拠点に

フロントに見立てた駅舎

JR東日本と小菅村など全国各地で地域活性化やビジネス創出を支援する「さとゆめ」(千代田区、嶋田俊平社長)はこのほど、12月上旬(予定)に「沿線まるごと株式会社」を設立すると発表した。

両者は青梅線の沿線自治体(青梅市、奥多摩町、小菅村、丹波山村)や地域住民、事業者を巻き込んで、駅舎を「ホテルのフロント」に、沿線に点在する空き家をホテル客室に改修し、地域住民を「ホテルキャスト」として、沿線全体をホテルに見立てる「沿線まるごとホテル」のサービス開発に取り組んできた。

今年2〜4月、1つの鉄道(青梅線)、2つの駅(白丸駅、奥多摩駅)、3つの集落(奥多摩町白丸集落・境集落、小菅村中組集落)を楽しむ体験・宿泊プラン「無人駅からはじまる、源流への旅」を実証実験として実施。1泊2食・体験付きプランを1人2万9700円で販売したところ完売となり、利用客からも高い評価を得られたため、事業化に向け会社を設立した。

 今後は、宿泊プランを試験的に販売する実験ツアーを前回とは異なる時期と集落で実施予定。「集落ホッピング」「青梅線駅チェックイン」などのメニューの開発実施、3コース程度の「沿線ガストロノミー」コースメニューの開発実施などを企画している。そのほか、多摩エリアの食を支える生産者の「想い」から楽しんでもらう「多摩ガストロノミー」ツアーも実施。生産現場の見学や多摩の食材を使ったディナーなどを楽しむ高価格帯の内容を予定する。

古民家ホテル事業については、2022年度内に青梅線沿線の古民家(空き家)を改修し、23年に古民家ホテルとして宿泊事業サービスを開始する想定。その後、順次改修・開業し、26年には全5〜8棟で宿泊事業を稼働する予定。

また無人駅の鳩ノ巣駅を観光拠点として改修・整備し、古民家ホテル利用客向けのチェックインスペースや、沿線の集落ホッピング起点、情報発信、交流拠点としても活用する。

さらに同事業は、青梅線以外の地域でも検討し、40年までにJR東日本管轄エリア内30地域以上で、地域特性に応じた事業創出を目指していくという。