雪景色にも温かみある絵 御嶽駅そば 玉堂美術館で2月6日まで

玉堂が最後に手掛けた大作でもある「鴛鴦」

「玉堂の冬景色と小下図展」が青梅市御岳の玉堂美術館(小澤芳郎主事)で2月6日まで開かれている。雪景色や正月にちなんだ日の出、富士山が描かれた作品が第1展示室で、本画を描く前の習作「小下図」が第2展示室で同館初公開されている。

冷たい岩の上で一対のオシドリが身を寄せ合う姿が描かれた「鴛鴦」(1957年)は最晩年の秀作。名声が上がるにつれて増える来客への気配りと接待、多くの弟子たちの世話をこなし、自身を黙々と支え続けてくれた妻への思いを描いたのではないかと言われている。

「雪景山水」(1931年)は墨の濃淡で降り積もった雪を表現。1人の人物が描かれている。小澤主事は「玉堂の絵は雪景色であっても、どこか温かい印象を受ける。描かれた人が家に向かっていたり、山を下っていたりし、家にも人の気配が感じられるよう描かれている。それが見る人に安心感や温かさを与えているのだと思う」と持論を説く。

日々の写生を欠かさなかった玉堂だが、写生帖を見ながら本画に取り掛かることはなく、頭の中にある構図を流れるように筆で描いたとされている。大作を手掛ける時などに「小下図」を描き、緻密に構図を決めることがあったという。

玉堂の代表作で六曲二双の「行く春」(1916年、東京国立近代美術館蔵)もその一つ。小下図には何枚も紙を張り合わせてあり、幾度となく構図を思案した形跡が見られる。削ぎ落とされた筆致の本画と違い、描き込みの多い小下図もまた魅力がある。

開催時間は10時〜17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は大人500円。問い合わせは0428(78)8335まで。(鋤柄)