瑞穂町 森田紙業 古紙からエタノール 飛行機飛ばすプロジェクトも

同社工場で茶色のクラフト古紙を背に立つ森田社長

 クラフト古紙の再生を手掛ける森田紙業(瑞穂町箱根ヶ崎)は昨年、バイオエタノール事業に着手。バイオ燃料製品を研究するグリーンアースインスティテュート(GEI、文京区)と提携し、古紙からアルコール消毒液を作った。

 新事業に舵を切ったのは、3代目社長の森田臣さん(39)。クラフト古紙の製紙向け消費が減少する中、古紙の新たな活用法としてバイオエタノールに着目した。紙など非食用のバイオマスを原料とする第二世代バイオエタノールは、SDGsの観点からも注目されている。

 同社は1966年創業。米袋やセメント袋などに使われるクラフト古紙専門の古紙問屋として再生紙事業を手掛けてきた。2016年、34歳で父から事業を引き継いだ森田さんは、紙離れが進む時代に古紙再生だけでは生き残れないと新規事業を模索。バイオエタノールの研究者を訪ね、協力先を見つけた。

GEIと提携し、古紙から作った消毒液

 昨年9月に製造した消毒液は、同社が企業から回収した古紙をGEIに提供し、GEIが古紙を酵素で糖化させ、抽出したエタノールを使った。同社は今年、国の事業再構築補助金を活用してバイオエタノールの製造プラントを工場内に設置予定。小ロットでエタノールの生産が可能になる。今後は環境意識の高い企業向けに、企業内の古紙を使ったエタノール配合のノベルティの提案をしていきたいという。

 今年はさらに、古紙からジェット燃料を作り、飛行機を飛ばすプロジェクトを始動させる。「古紙をたくさん集めるにもノウハウがいり簡単ではない。ただ、最近は新型コロナの影響もあって紙の消費が落ち込み、集めても再生紙として使いきれない原料がある。古紙をエタノールなどの他製品に変化させることで使い道が増えれば、事業の先細りを防げるのではないか」と新事業に期待する。(伊藤)