羽村駅東口 ちがさき 吟味した国産豚で柔らかジューシーなとんかつ

断面がピンク色に仕上がるよう揚げ加減を調整する
断面がピンク色に仕上がるよう揚げ加減を調整する

 一切れ一切れに肉汁を閉じ込めるイメージで揚げた「とんかつ ちがさき」(羽村駅東口から徒歩5分)のロースかつは、柔らかくてジューシー。肉と衣の一体感も抜群で、「これぞ、とんかつ」と周囲に知らせたくなる味だ。

 創業当初から国産豚にこだわり45年。2代目の三橋一寿さん(46)はより良い肉を求めて仕入れ先を開拓。市内の食肉卸売会社ムサシノミートから現物を見て仕入れ、主に神奈川県産の豚肉を使っている。

妻から贈られた「料理は愛情」のマスクをつけて店に立つ三橋さん
妻から贈られた「料理は愛情」のマスクをつけて店に立つ三橋さん

 「うちのとんかつがお客さんに喜ばれているのは、半分は肉屋さんが良い肉をそろえてくれるおかげ」。残り半分が調理の領分になる。三橋さんは肉に均等に火が通るよう赤身の割合などを見ながら1枚ごとに隠し包丁の入れ方や叩き加減を調整。余熱を巧みに利用して、切った時に断面がややピンク色になるよう揚げる。包丁を揚げ油で熱しながら切ることで肉の表面を軽く焼き、肉汁を封じ込める。肉汁が染みないため、サクサクの衣が保たれるという。

 「いつかは店を継ぐのだろう」と漠然とした思いで40歳過ぎまで他店勤務を続けてきた。父亡き後の店を一人で守ってきた母敏子さん(74)が楽しそうに店に立つのを邪魔したくないという思いもあった。

 踏ん切りがつかずにいた三橋さんの背を押したのは4歳の娘の存在。「子どもができたことで、自分の店でこの子を養っていくという目標ができた。自分が子どものころ、学校から帰ると店に父と母がいて、父がおいしい料理を作ってくれた。同じことを自分の子にもしてあげたい」と勤めていた定食店を辞め、一昨年4月に店主を引き継いだ。現在は母と2人で営業する。

 「料理は愛情」が座右の銘。「お客さんにうまいもんを食べてもらいたい」一心で調理場に立つ。大のとんかつ好きで、家族で外食に出かけても「気づいたらとんかつを注文している」と笑う。

 ロースかつは、ごはん、味噌汁、お新香付きで1210円〜。上、特上、最上とランクが上がるごとに肉が厚くなる。テイクアウト、出前館などを利用した配達可。弁当や予算に応じたオードブルの注文も受け付けている。

 営業時間は11時30分〜14時、18時〜20時。正午前後は込み合うため、13時を過ぎてからの来店がおすすめ。月曜定休。問い合わせは042(554)7971まで。(伊藤)