青梅佐藤財団が45周年 「上質なものを皆さんと一緒に」

 青梅佐藤財団は今年、設立45周年。理事長の佐藤敏明さん(77)=写真=は、「相手が喜んでくださることに喜びを感じる」スタッフ、出演者らとともにさまざまな文化事業を手掛けてきた。多くは10年以上の継続事業。「『楽しいからまた行きたい』という方々が良い場を作ってくれ、自然と好きな人たちが集まるようになった」と良質な参加者に支えられてきたという。

 2008年から続く「渡邊学而の名曲へのお誘い」や、09年に始まった「神津善行の音楽文化講座」など音楽の催しは特に人気が高い。コロナ禍の20年以降、中止を余儀なくされた公演もあったが、入場者数を半分に減らすなど工夫して、できる限り続けてきた。

 同財団は佐藤さんの父で日本ケミコンの創業者、故佐藤敏雄が太平洋戦争末期に移り住み、事業を発展させた青梅の地、人に「ご恩返しをする」という思いから1977年3月に設立。市内の福祉、青少年団体への助成、奨学金制度の創設、多彩な文化講座などを行ってきた。

 佐藤さんが財団のモットーである「ご恩返し」の思いとともに大切にしているのが、自らも「今を楽しむ」精神。「自分が楽しいからやる」との気持ちで主体的に事業に携われば義務感を抱くことはない。力まず続けられ、結果的に周囲を喜ばせることになる。

 自身は喜寿を迎え、敬愛する作家の五木寛之さんが記すところの「玄冬期」に入った。「玄」=「黒」の意だが、五木さんの著書には「単純な黒ではなく奥行きのある黒、深みのある黒」とあり、無限の広がりが感じられる。体力は衰えても、心や思考の成熟度が増していくのはこれから。「あと5年、50周年までは頑張りたい。できるだけ上質なものを、できれば皆さんと一緒に楽しみたい」と前を向く。(伊藤)


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