御嶽駅そば 玉堂美術館で玉堂の描く「涼」展 9月4日まで

初公開の画架には最晩年の「鵜飼」を展示。通常の展示より近い距離で見ることができ、細やかな筆致を確認できる
初公開の画架には最晩年の「鵜飼」を展示。通常の展示より近い距離で見ることができ、細やかな筆致を確認できる

 「玉堂の描く『涼』展」が玉堂美術館(青梅市御岳、新井梨里子主事)で9月4日まで開かれている。玉堂忌の30日は、来館者に記念ポストカードが配布されるほか、直径1㍍ほどの「玉・堂・忌」と書かれた3つの提灯を同館前に設置する。

 「涼」を感じる川や滝などを描いた作品を中心に展示。1956年にニューヨークで開かれた世界美術展に日本代表として出展した「鵜飼」(1956年)は、幼少期を岐阜県で過ごした玉堂が200点以上の作品を残したテーマ。本展では23歳で描いた「鵜飼」も飾られ、見比べると構図や描き方の移り変わりが分かる。

 日本画家としては珍しく絵を立てかけ描いた玉堂が、特注で作らせた画架(イーゼル)も初公開されている。

 このほか玉堂忌に合わせ「楊柳観音」(1940年)を展示。玉堂は知人に不幸があると観音の絵を贈っていた。中でもこの作品には本名「芳三郎」の芳の字が落款に入ってており、故人への深い敬意が感じられる。

 新井主事は「玉堂は上京した7月1日を生涯の記念日としてきた。奇しくも亡くなったのは6月30日。玉堂が人生を精一杯生きた証のように感じる。玉堂が残した数々の絵から涼を感じてもらえたら」と話した。

 開催時間は10時〜17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料大人500円。問い合わせは0428(78)8335まで。(鋤柄)