奥多摩を本のふるさとに 本棚のサブスクリプション まちライブラリーの新事業

磯井代表(右から2人目)とまちライブラリー関係者の皆さん
磯井代表(右から2人目)とまちライブラリー関係者の皆さん

 一般社団法人まちライブラリー(磯井純充代表)がこのほど、新事業「本のふるさと奥多摩」を旧小河内小学校(奥多摩町川野)を活用した施設「奥多摩フィールド」の一室で開始した。設置した43台の書棚を有料(一台月5000円〜)で貸し出し、個人の蔵書を預かる事業。愛読家らの交流の場を作り、町の関係人口増加を図る狙いがある。

 書棚を借りた人は、他の利用者の蔵書を閲覧できる。奥多摩の自然を感じながら、温もりのある木造校舎で読書をしたり、利用者同士が本という共通の話題で親睦を深めたりできる。

棚の高さは自由に調整できる
棚の高さは自由に調整できる

 同法人は全国約1000カ所で私設図書館「まちライブラリー」の企画・運営を行なっている。新事業は置き場に困った蔵書を古書店に売ったり捨てたりする以外の選択肢を示したいと企画。都心部で倉庫を借りるのとは違った生活様式を提案したいとの思いもあった。

 利用者の力徳裕子さん(50、世田谷区)は、父でドイツ文学者の保坂一夫東京大学名誉教授の蔵書を預けている。「本を預けたことで、定期的に奥多摩に通うようになった。のんびり読書をしたり、本の整理をしたりするにはぴったりの空間。さまざまな趣味嗜好を持つ人が集まってくれたら」と期待を寄せる。

力徳さんが借りる本棚
力徳さんが借りる本棚

 磯井代表(65)は「本棚のサブスクリプションは町のふるさと納税のメニューにも使える。奥多摩が本のふるさとになれば、新しい文化が生まれ、町の活性化にもつながる。本だけでなくフィギュアなどのコレクションを並べても面白いかも」と話し、他の過疎地域でも同様の事業を展開していきたいと語った。

 利用金額は約260冊収容可能の書棚が月5000円・年5万7000円、約360冊収容可能な書棚が月6500円・年7万200円。2台目からは割引あり。(鋤柄)