当コーナーは西多摩地区に12の営業支店を置く西武信用金庫と西の風新聞社とのタイアップ企画です。西武信金の取引先であり、西多摩近隣で頑張る経営陣を担当支店の若手職員が訪ね、地域との関わりや未来への思いを聞きます。記事は原則毎月第2木曜に掲載、当面は女性経営陣を紹介していきます。
運命受け入れ3代目に
遠藤礼美さん(42)は、武蔵村山市役所近くで村山うどんの店「青柳」を営む青柳肉店の3代目社長。2011年に先代の母から事業を引き継いだが、当初は「家業を継ぐとは全く思っていなかった」という。
歯科衛生士として7年勤めた歯科医院を辞め、次の職場に移るまでのわずかな期間のつもりで店を手伝い始めたのは28歳の時。直後に母が病に倒れ、ほぼ毎日店に立つように。約2年の闘病の末に母が他界すると、流れのままに自身が社長を引き継ぐことになった。
社長になっても調理場の裏方と経理全般を担うという仕事内容は変わらず、気負いは一切なかったと振り返る。それでも地元商工会やうどんの会などで経営者と接する機会を重ねるうちに視野が広がり、だんだんに「自分の店」の舵取りが楽しくなっていったという。
創業は祖父母の代、社名の通り肉の小売業からスタートした。父母の代に肉屋からうどん店へと業種転換し、コロッケやメンチカツなど肉屋時代に手がけていた総菜は隣接店舗で販売する形態に。夜は地元客を中心に宴会営業を行っている。
社長に就いて13年。3人いる兄ではなく末っ子の自分が家業を手がけることになった意外な運命に時折思いをはせる。意図せず引き継いだ思いが強いだけに、「残してもらったものをそのまま続けていきたい」と、自身の代で何かを大きく変える気持ちはないという。
ただ、事業継続には大きな課題がある。うどんの打ち手が77歳の父一人しかいないことだ。「村山うどん」は水で冷たくしめたうどんを温かい肉汁につけて食す。地粉で打った太くてコシのある麺が特徴だが、打ち手の後継者不在という共通の課題を抱える店は多いことから、うどんの会などで情報交換しながら良い道を探っていきたいという。
実は大のラーメン好き。特にとんこつ醤油が好みで、「背脂載ってる系が一番」と、うどん話題から一転、目を輝かせる。先代が残した会社を守りたい気持ちは強いものの、肉屋からうどん店への変遷を考えると、「ラーメン屋になってもいいのかも」と将来的な業種転換も視野に入れる。そのうち本当にラーメンを提供しているかもしれない。
誘われて行くゴルフと晩酌が息抜き。「基本、仕事場から離れたら仕事のことは忘れちゃう。晩酌を活力にたんたんと仕事するのが好きです」。オーロラ鑑賞とスポーツ観戦を目的にカナダを旅するのが夢だが、夫と2匹のハスキー犬との暮らしにも十分満足している。

【プロフィール】遠藤礼美(42)
専門学校卒業後、歯科衛生士として歯科医院に7年勤務。歯周病患者の口腔ケアをサポート。2009年に現在の仕事を始め、11年代表取締役に。武蔵村山市商工会青年部の一員として地域活動に参加。

【訪問者】西武信金 村山支店 コーディネート担当 小林さん(26)
将来の展望や事業への想いに触れる良い機会になりました。私も母親の実家がうどん屋を営んでいるので勉強になりました。地域密着の経営姿勢に共感しました。私たち信用金庫も地域密着で活動していますので、今後はより一層協力し、地域を盛り立てていきたいと思います。
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