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【コラボ】西武信用金庫×西の風 Baton〜未来へつなぐ  vol.16 海外アーティストを檜原へ 檜原村 株式会社中野ダイナマイト 堺良太社長

2025年5月1日

 当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社のタイアップ企画です。4月からは創業5年以内で特色ある事業に取り組む西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や将来への思いを聞いていきます。


海外アーティストを檜原へ

 前オーナーの急逝により存続が危ぶまれていたライブハウスを引き継ぐため、2022年に中野ダイナマイトを設立。社員9人を含む30人の従業員、仲間とともに新宿区と中野区で計2店舗のライブハウスを経営する。海外アーティスト向けに複数のライブハウスと観光地を案内するツアーサポート事業を企画。本社を置く檜原村へ、これまで15組ほどを案内した。

 自らもロックミュージシャンで、引き継いだライブハウスの常連客であり出演者でもあった。関係者から事業承継を持ちかけられたのは、コロナ禍でライブハウスの業績が大きく落ち込んだ時期。経営の厳しい時期とも重なったが、深い思い入れのある店をなくしたくない気持ちが強く、3カ月ほど悩んだ末に引き受けた。建設業から音楽業へ、個人事業主から法人経営者への大転身となった。

 もう一つの転機は、豊かな自然を気に入り17年に檜原に移住したこと。3人の息子と妻と村営住宅に暮らしながら、村内に取得した築100年の空き家を建築仲間と大規模改修中。この場所を本社と定め、海外アーティストや国内の音楽仲間を受け入れている。

 現在、収益の9割はライブハウスの収入で、残り1割がツアーサポートと建設事業という。一方、コロナ禍以降、円安の影響もあって海外客は3割ほど増え、さらに増加の兆しが見える。堺社長は語学に堪能な従業員に海外広報を任せ、今後2年でツアー事業を軌道に乗せる計画。ゆくゆくは檜原でキャンプ場経営や音楽フェスの開催を夢見る。「移住者を増やすのと同じくらい若者の流出を防ぐ対策も必要」と考え、バーなど若者が気軽に集える場を作りたい思いもある。 

 「檜原村が大好き」といい、経営者である前に一人の移住者としてマナーを強く意識する。あいさつや地元行事への積極的な参加を心がける。金髪、タトゥーの派手な外見はポリシーによるものだが、村の中では夏でも長袖で過ごし、客を招く際はあらかじめ周囲に断りを入れておく。得意なロックではなくアコースティックギターで静かな音楽を奏でるなどの配慮を欠かさない。

 転身後、頻繁に体調を崩し仕事が滞った経験から一念発起。毎朝3時に起床し、10〜15㌔のランニングを始めて以来、風邪を引かなくなった。「誰からも連絡が来ない朝の1時間は日中の4時間くらいに匹敵する」と、早朝に業務をこなす習慣がつき、時間を有効に使えるようになった。

 月のうち檜原滞在は1週間程度。フリーな時間は1カ月に1日確保できれば良い方で、家族と過ごす時間は限られる。それでも「たとえ1時間でも全力で子どもと遊び、全力で楽しみます」と、常に目の前のことに全力で取り組む。


【プロフィール】堺 良太(44)
1980年和歌山県生まれ。25歳で上京、建設業(足場)と並行して都内ライブハウスを中心に音楽活動。2017年檜原村移住。2022年株式会社中野ダイナマイト設立。社名は「インパクトが強く覚えやすい」という理由でつけた。


株式会社中野ダイナマイト

所在地:檜原村829-5

主な事業内容:ライブハウス運営、海外アーティストのツアーサポート


【訪問者】西武信金 五日市支店 コーディネート担当 奥田さん(59)
 堺さんの仕事の苦労、例えば建設業と飲食業の時間管理のギャップや、檜原村の近隣への音量の心配り。苦しい中でも気配りをして仕事への楽しさを見つけていることに感銘を受け、自分との共通点を感じました。お忙しい中で家庭を大切にし、体力づくりも行い、時間を有効に利用しているところに学びました。

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