当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社のタイアップ企画です。4月からは創業5年以内で特色ある事業に取り組む西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や将来への思いを聞いていきます。
頼りになるまちのお医者さんに
小作駅前で30年近く続いたクリニックを奥村充医師から引き継ぎ、4月に同院の院長となった。前院長が築いてきた患者との信頼関係を土台に少しずつ自分のカラーを発揮し、不調の折には「あそこに行けばなんとかなる」と思ってもらえるようなクリニックに育てていきたいという。
日本医科大学を卒業後、約20年にわたり都心の3カ所の急性期病院で寝食を惜しんで救急対応に当たってきた。救急現場で身につけた技術や知識を生かしてゆくゆく開業したい思いがあり、情報収集を始めた矢先に新型コロナ感染症が流行。重症患者を見捨てるわけにはいかず、開業計画は一旦白紙にせざるを得なかった。
コロナ禍が収束した昨年、再度検討を始めたものの、物価高などコロナ禍以前とは状況が一変。新規開業から後継者のいない医院を承継する方向に転換し、M&Aの専門業者を通じて承継先を探すことに。院長の温和な人柄と奥多摩の山々を望む立地が決め手となり、紹介された15件ほどの物件の中から小作駅前クリニックを選んだ。8人の従業員もそのまま引き取った。
医師を志した子ども時代、目指したのは病気やけが、近所の人のどんな不調にも対応する「まちのお医者さん」。医大に進むと先進的な機器を扱う急性期医療にあこがれ、救急現場へ。原点回帰の思いで開業医に転身した。
経営者への願望もあった。だが実際、クリニックを開業してみると、各機関との折衝や届け出、労務関係の手続きなど医療以外の業務があまりに多いことに驚いたという。「奥村先生がいろんなことを教えてくださったけれど、正直こんなことまで自分でやるの?ということが結構ある」と、いまだ驚きの連続だという。前院長との関係は良好で、クリニック承継後も月に数回、非常勤でサポートしてもらっている。
高校2年の長女を筆頭に3人の子の父親でもある。子らの通学を優先し住居は駒込に置いたまま、自身が片道2時間かけて電車通勤。ラッシュと逆方向に通うため車内で自分の時間を持てるのが良いところだという。
長く救急医療に携わった経験から内科・外科・小児科に幅広く対応できるのが強み。前院長の標榜科目が内科・循環器科だったこともあり、現在1日50人前後診る患者の大半は高齢者だが、外科・小児科でも頼りにしてほしいという。
ストレス解消法はランニング。土地勘を磨く意図もあって昼休みに10㌔程度走ることも。「この辺はどこを走ってもアップダウンがあって面白い。ランニングを免罪符にして飲むビールも楽しみです」。青梅マラソンが好きで毎年30㌔を走る。7月には非常に過酷なことで知られる富士登山競争山頂コースに出場予定。

【プロフィール】古畑 謙(46)
1978年東京生まれ。父の仕事の関係で小学校に上がるまでロンドンで、中学時代は香港で暮らす。高校時代は東村山在住。日本医大付属病院高度救命救急センター、イムス葛飾ハートセンター心臓血管外科、河北総合病院救急集中治療科勤務。

【訪問者】西武信金 小作支店 コーディネート担当 鈴木さん(26)
前院長の引退と古畑さんの創業という2つの出来事に携わり、クリニックが継続できたことを大変うれしく思います。古畑さんから医療現場におけるDX化も進めたいという考えをお聞きしたので、専門家派遣や補助金支援等を行っていきたいです。
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