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東京西部 西多摩8市町村の地域紙 タブロイド版/毎週木曜発行

【コラボ】ME TIME JAPAN×西の風 自分の言葉とリズムで働く女たちVol.5 谷保から始まる、つながりを生む場所づくり

2025年9月25日

 西多摩と南・北多摩の人をつなげたい——。そんな想いから、西多摩の地域メディア「西の風」と立川を拠点にする英字サイト「ミータイム」は読者の皆さんの生活圏内である南・北多摩の魅力的な女性たちの取り組みを紹介する連載をお届けします。月1回のペースで続けていきます。


坂根千里さん  (「スナック水中」オーナー)


谷保から始まる、つながりを生む場所づくり

 国立市谷保に店を構え、地元の常連はもちろん、遠方からの客も多いスナックのママ。一橋大学卒業後、同地の老舗スナック「すなっくせつこ」を承継し、2022年に「スナック水中」を開業。起業家であり一児の母、社会的に自立した女性として新しい価値を生み出している。

 谷保とのつながりが生まれたのは、大学1年の終わり頃に地域の活動に関心を持ち始め、くにたち農園の会の小野淳さんと出会ったこと。子どもたちが畑の中で遊び、地域の大人が見守るその光景に惹かれ、何度も足を運ぶようになった。やがて「ゲストハウスをやってみたい」という自身の思いを小野さんに相談。地域の人たちの支援を受けながら、ゲストハウス「ここたまや」をオープンさせた。今は子育てをする立場となり、自然に囲まれた環境や人とのつながりに地域ならではの豊かさを改めて感じている。

 起業当初から一貫しているのは「これからの街の社交場をつくる」こと。デジタル時代の交流の重要性について「誰かと一緒に飲み、話し、笑い、カラオケを歌うような身体を使った時間はかけがえのないもので、喜びにつながる」と話す。デジタルには、場所を問わず趣味や価値観の近い人とつながれる良さがある一方、若者から中年層まで幅広い世代がリアルなつながりを求めていると感じている。最近は、より楽しい人生を送るために、週に1回でもサービス業に副業として関わることを広めたいという。実際、「人に出会いたいから働きたい」とスナックを訪ねてくる人は後を絶たない。顔の見える距離で「ありがとう」を交わせる関係は、効率が優先されがちな今の社会において、改めてその良さを感じさせてくれるようだ。

 人との良い付き合い方について尋ねると、「まずは誰かの『おせっかい』に巻き込まれてみるのも一つ。声をかけられたら、ためらわずに参加してみると思わぬ出会いや気づきがあるかもしれない。私も地域の面白さを教えてくれる小野さんのような存在に出会えたから今がある。今は自分の関わりが、誰かのきっかけになれば」と話す。地域との関わり方がわからない人には、ちょっとした集まりを自宅などで開いて人を招いてみるなど、自分の暮らしの延長で『場をひらく』ことをすすめる。ボランティアや副業などを通じて自分にできるちょっとした手伝いや得意なことを生かすことも、自然なつながりを生むと話してくれた。

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