西多摩と南・北多摩の人をつなげたい——。そんな想いから、西多摩の地域メディア「西の風」と立川を拠点にする英字サイト「ミータイム」は読者の皆さんの生活圏内である南・北多摩の魅力的な女性たちの取り組みを紹介する連載をお届けします。月1回のペースで続けていきます。
川口芹奈さん 「オーベルジュ ときと」サービスマネージャー

酒と食で紡ぐ、記憶に残るもてなし
1938年創業の立川の料亭「無門庵」の歴史を継ぐかたちで、2023年に誕生したオーベルジュのサービスマネージャーとしてゲストを迎える。日本料理を現代的に再解釈する「ジャパニーズ・イノベイティブ」というスタイルのもと、和の精神を大切にしながらも、ジャンルや技法にとらわれず進化を続ける料理に寄り添う一杯を提案する。ワインや日本酒、ノンアルコールまでその土地に根ざした味わいを届けている。
「世界中のワインを味わってみたい」と語る通り、試飲会やワイナリーに足繁く通い、生産者の思いを聞くことが何よりも好きだという。ヨーロッパ産を多く取り揃えながらも、「ここで料理を味わうなら、まずは日本のワインを」と造り手の個性が光る希少な一本を国内各地から選び抜く。運営会社である立飛ホールディングスは、昨年から北海道余市・登地区でワイン造りを開始。同地は、国内有数のワイン産地として知られ、ワイナリーが集積する。畑作りからブドウ植付け、ワイン醸造には時間を要すため、自社のワインを提供するのはまだ先になるが、社長の情熱と行動力を尊敬しているという。
今、注目しているのは日本酒の古酒だ。かつては香りが強くて苦手だったが、ぬる燗にして熱寿司と合わせたとき、その相性の良さに驚き、概念が大きく変わったという。古酒に惹かれるのは、時間の経過とともに味わいが変化していく“発酵の深み”に魅力を感じるからでもある。発酵食も好きで、塩麹や醤油麹を自ら仕込むことも多い。発酵の過程を見守る時間が楽しく、それはワインにも通じる。抜栓してすぐに美味しいものもあれば、1日経ってから風味が深まるものもある。そうした、時とともに変化していく感覚が好きだ。昨日より少しでも成長した自分でいたいという思いとも重なり、仕事や学びに真摯に向き合いながら、自分らしさを大切に生きたいと考えている。
接客においては、来客者一人ひとりの表情や仕草に目を配り、その瞬間にふさわしい言葉を添える。それは高校時代、地元・京都の飲食店で働いた際に学んだ「お客さまの言葉にならない気持ちを感じ取り、先回りして動くこと」の教えがある。客室乗務員を志していた学生時代の経験や海外留学での学びも糧にしながら、「お客さまが笑顔になる瞬間をつくりたい。記憶に残る特別な体験を届けたい」と語る。
住んでみたい
働いてみたい
遊びに行きたい
