西多摩の地域メディア「西の風」と立川を拠点にする英字サイト「ミータイム」が、多摩地域の魅力的な女性たちの取り組みを紹介する連載です。
古前遥香さん 「多摩の検索ちゃん」

5万人が注目する、立川と多摩の魅力を紡ぐ
立川で「多くの人が地域を知る入口として頼りにしている発信者」といえば、その名が自然と挙がる話題の人。
ブライダル業に従事し京都・名古屋・表参道で働くなか、結婚とコロナ禍を境に「いつかは地元・立川に戻りたい」という学生時代からの意識が芽生えた。幼い頃から両親と巡った多摩の街は、身近に緑や適度な静けさがある場所。離れてこそ、その心地よいバランスに気づいたと話す。
都会の日々は刺激に満ちていたが、震災後の通勤の不安は働き方を見つめ直すきっかけだった。やがてコロナ禍で移動が制限された日々、青梅や八王子を巡り投稿した記録は、思いがけず共感を呼び広がっていった。
フォロワーの約9割は多摩エリア在住の20代後半〜40代半ばの女性。そのニーズに応えるため、楽しい・役立つ・美味しい・少し得する情報を扱い、「フォロワーが価値を感じるかどうか」を大切にしている。多摩に関心を寄せる人には訪れるきっかけを、暮らす人には小さな再発見を。それが、地域への愛着をそっと育てていくと信じる。
西多摩の魅力を尋ねた。「他の多摩地域と比べて、自然と人の営みが近いところ。雄大な山並みや清流、古くから続く営みや行事など、控えめながら充実した魅力が積み重なっている。仕込水にこだわる澤乃井などの地酒文化や、ひので和紙では今も敷地内で和紙の原料となるコウゾを育て、井戸水を使って紙漉きをしている。奥多摩といえば多摩川の源流水でつくるだし巻き玉子の人気店『卵道(ランウェイ)』。この土地ならではの恵みを“味わえる”楽しみもある。御岳山には宿坊が並び、古くから山を訪れる人たちを迎えてきた。それがそのまま日常に残っているのもとても印象的。都会に近いのに、時間の流れが少しだけゆっくりで、深呼吸したくなるような感じ。そんな自然と文化が静かに寄り添っているところが魅力」だと話す。
現在フォロワーは5万人を超えた。今後は農業、文化、そしてアール・ブリュットを発信していきたい。「頑張る人たちを応援したい」と話す。アール・ブリュットは、専門教育によらず個人の内側から生まれる表現で、国際的に評価される。立川では2015年より市民団体「アール・ブリュット立川実行委員会」が、障がいのある作家たちのアートの魅力を伝えている。イベントだけでなく、歩道の壁面180㍍にわたる『ドリームロード』や駅近郊の地下道など街中でも作品を楽しめる。
「多摩の消費者を最も理解している」と言われることがあるが、それは迎合ではなく継続的に地域と対話してきた結果だといえる。「自分が好きな人やものを発信して、共感と信頼を積み重ねてきた。今後も必要な人に情報を届けていきたい」。日常の小さな発見から文化の本質まで、多摩の現在地を自分のものさしで伝え続ける。
住んでみたい
働いてみたい
遊びに行きたい
