西多摩の地域メディア「西の風」と立川を拠点にする英字サイト「ミータイム」が、多摩地域の魅力的な女性たちの取り組みを紹介する連載です。
和井田 慶子さん 「コート・ギャラリー国立」オーナー兼キュレーター

街角からはじまる、アートとの出会い
国立駅前に佇むアートギャラリーのオーナー兼キュレーター。人の往来が絶えない場所にありながら、作品と人が静かに向き合う時間を大切にしてきた。その原点にあるのは父 岩﨑茂雄さん(故人)の存在。1970〜80年代、立川で不動産業を営むかたわら、アートへの関心を深め、若手作家の展示や活動を支援していた。当時はまだ今ほどギャラリーの数も多くなく、作家たちが発表の場を持つこと自体が難しい時代。父は作家と直接向き合い、展示だけでなく、作品を紹介するアートブックの制作にも力を注いだ。家の中には常に作品が溢れ、アートは特別なものではなく生活の延長にあったという。幼い頃から両親に連れられて美術館やギャラリーを訪れた記憶を鮮やかに覚えていて、その時の驚きと喜びは今も強く印象に残っている。
2001年に父の思いを引き継ぐ形でオーナーに。自身は抽象画も大好き。具象画好きの茂雄さんとはギャラリーの方向性をめぐってよく親子喧嘩をしたと当時を振り返る。
アートは、完成された「作品」ではなく、言葉を超えて感情を運ぶ「物語」だという。だからこそ展示では、学術的な評価や流行よりも、作家との直感的なつながりや選ぶ方の純粋な好奇心が基準になる。「ギャラリーは作品を理解する場所ではなく、作家と鑑賞者の思いが交差し、思いがけない出会いが生まれる場でありたい」と話す。
作家と語らい、創造の背景にある人生を知ることは、鑑賞の喜びをより深め、観る人自身の視野を豊かにしてくれるという。自身もアーティストたちとの対話を通して、その視点が日々広がっていると感じている。
国立という街もまた、大学や文化施設とともに独自の文化を育んできた。昨年10月には、市内13会場を舞台に「Kunitachi Art Center」を開催し、駅前広場も展示空間としてにぎわった。
現在のアートシーンについては、多様な表現が広がっていることを前向きに受け止めている。かつては男性中心だった世界に、女性アーティストの視点や感性が加わり、見過ごされがちだった表現がようやく光を浴び始めていると感じている。
自身にとってギャラリーは単なる仕事場ではなく、日常の中で静かな余白を取り戻す場所でもあると話す。
住んでみたい
働いてみたい
遊びに行きたい
