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東京西部 西多摩8市町村の地域紙 タブロイド版/毎週木曜発行

【コラボ】ME TIME JAPAN×西の風 自分の言葉とリズムで働く女たちVol.2 お茶の楽しみを世界へ 代々の想いをつなぐ

2025年6月26日

 西多摩と南・北多摩の人をつなげたい——。そんな想いから、西多摩の地域メディア「西の風」と立川を拠点にする英字サイト「ミータイム」は読者の皆さんの生活圏内である南・北多摩の魅力的な女性たちの取り組みを紹介する連載をお届けします。月1回のペースで続けていきます。


池谷香代子さん  (日本茶専門店「まごころ銘茶 狭山園」三代目)

お茶の楽しみを世界へ 代々の想いをつなぐ

 1951年に立川で創業、日本茶専門店「まごころ銘茶 狭山園」三代目として家業の伝統を継ぎながら、現代の生活に合うお茶の楽しみ方を国内外に発信している。

 京都の老舗「一保堂茶舗」で4年半勤務した後、カナダの紅茶専門店でティーアドバイザーとして接客に携わった。さらに南米コロンビアに渡り、言葉も文化も異なる土地で、日本茶の魅力を一から伝えるという挑戦を重ねた。

 帰国後に三代目となり、2019年に本店をリニューアル。急須で淹れる日本茶のテイクアウト、マイボトル持参の給茶スポット、多言語でのワークショップなどを展開し、国内外へと活動の幅を広げてきた。「日本茶は言葉の壁を超えて、人と人をつなぐ力がある」と信じ、英語・スペイン語を交えながら、世界中で日本茶の魅力を伝えている。

 23年には立川の「オーベルジュときと」の立ち上げから茶房を担当。料理やスイーツとのペアリングなど、新たな視点で茶文化を提案している。

 30年近くにわたり、自社発行の冊子『いっぷくだより』を継続。二代目の父が始めたこの取り組みを受け継ぎ、新茶の季節には毎年産地を訪ね、生産者の想いや苦労、土地の空気を言葉にして伝えてきた。お茶をただ売るだけではなく、背景にある人や物語ごと届けるという姿勢が顧客の信頼につながっている。

 「お茶屋は、作り手と飲み手のあいだに立つ語り手でもある」。自社の茶畑を持たないからこそ、誰と手を組み、どのように届けるかに徹底的に向き合ってきた。信頼できる農家や製茶師とともに、「顔の見えるお茶」を選び抜き、日々の暮らしに寄り添うような一杯を提案している。

 ティーバッグで淹れる手軽さもあれば、急須で味わう丁寧な時間もあり、お茶の多様性を日常の中に根づかせることを大切にしている。

 「地元のお客さまはもちろん、遠方や海外の方にも日本茶の良さを知ってほしい。お茶を選ぶ楽しみ、淹れる喜び、そしてお茶を介した『おもてなし』の心を分かち合えたらうれしい。飲む人の日常に寄り添うお茶文化を、これからも丁寧に届けていきたい」

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