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【コラボ】西武信用金庫×西の風 Baton〜未来へつなぐ  vol.21 高価値の昭島の水を売りに 昭島市 昭島パスタ工房2号店開業 中出悠太郎工房長

2025年10月9日

 当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社のタイアップ企画です。創業5年以内で特色ある事業に取り組む西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や将来への思いを聞きます。


高価値の昭島の水を売りに

 昭島の深層地下水で作る生パスタの店「昭島パスタ工房」を2021年9月に開業。昼は太めの乾麺を独自の調理法でアルデンテ風に仕上げた焼きパスタ、夜は焼きパスタと生パスタの両方を提供する2号店をこの9月、昭島駅南口にオープンさせた。

 開業のきっかけはコロナ禍。都心で自家焙煎コーヒー店とマッサージ店のコンサル業を掛け持ちしていたが、どちらの店も新型コロナの流行により大打撃。収入源を失い岐路に立たされた。

 オフィス街では感染を恐れ飲食店から客が消えた一方、増えたのはキッチンカー。コロナ禍が去った後にもイベント等で活用が見込めるキッチンカーに活路を見いだし、セントラルキッチンの拠点を求めて都心より固定費の安い郊外で物件を探すことにした。

 住居のある中野から中央線の駅を1駅ずつ西へ。歩いた13の駅のうち、拝島駅前の不動産屋で衝撃の体験をする。「コップに注いだ水道水を出されたんです。都心の水はカルキや不純物の臭いが気になり浄水器が必須だと考えていたので驚きましたが、出された水はすごくまろやかで、甘みさえ感じました」

 それもそのはず、昭島市内の水道水は地下70㍍超の深い層から汲み上げた深層地下水。水質に優れ、ミネラルウォーターと同等の美味しさだと言われている。初めて聞いた昭島の水の価値に魅せられ、「水をテーマにした何かをやろう」と即座に決めた。

 思いついたのが生パスタ。製麺段階で総重量の3割以上水を使い、茹でる過程でも湯を吸って2倍に膨らむ。昭島の水を売りにした飲食店のストーリーが鮮明に描けた。

 今回2号店の開業にあたり、独自にクラウドファンディングの仕組みを作り、手数料を引かれない形で960万円の資金を集めた。支援者の多くは1号店の常連客や、これまで30を超す職場を経験する中で築いた人脈の中にある人たち。彼らの期待をプレッシャーと感じつつ、「期待に恥じない店を作らねば」と奮闘する。

 大阪の通天閣を見上げる商店街で生まれ、羽曳野市で育った。俳優を志し22歳で上京したが、所属先のプロダクションの閉鎖によりその夢を断念。以降、もう一つの夢であった実業家を目指すことに。

 コロナ禍というハプニングを経て導かれるように昭島にたどり着き、この地で丸3年事業を続けるうちに深まっていく思いがある。「昭島の人たちに『やってくれてありがとう』と言ってもらえる店にしたい」。地域に愛される繁盛店に育てていくことが、自分を迎え入れてくれた土地への一番のお返しになると考えている。


【プロフィール】なかで ゆうたろう
1985年、大阪府出身。レストラン、バーなど飲食関連に加え美容機器の営業、清掃トレーナーなど30種以上の職を経験後、中野区でリラクゼーションサロンの経営、自家焙煎珈琲店のフード監修。コロナ禍を機に昭島市で「昭島パスタ工房」をキッチンカーと同時開業。昭島駅前に2号店を立ち上げ現在に至る。


【訪問者】西武信金 昭島支店 コーディネート担当 金井さん(26)
 昭島パスタ工房さまのルーツは中出さまの多種多様な過去のご経験。味はもちろん経験を活かし、義理人情を大切にしながら様々なことに取り組まれているのも、昭島パスタ工房さまが愛される理由の一つだと感じました。

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