当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社のタイアップ企画です。創業5年以内で特色ある事業に取り組む西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や将来への思いを聞きます。
車好き子ども時代からの夢貫く
2024年4月、瑞穂町箱根ケ崎の準工業地域に自動車整備のフォーティーンを創業。事故車の板金塗装を主として、車検・点検、レンタカーといった車にまつわる事業をスタートさせた。「小さい頃からやりたかった」車の仕事に就き、40歳までに独立するという夢をかなえた。
1期目の決算は事業計画を上回る業績。居抜きで使える建物付きの創業適地が見つかったり、知人の紹介で腕利きの従業員2人を確保できたりと、好スタートを支える条件がそろったのは「運が良かっただけ」と笑うが、5年前から創業の準備を重ねてきた。常にアンテナを張り有益な情報を得ようと努力してきた結果、ツキが舞い込んできたように見える。
12年勤務した青梅市内の前職で板金部門の工場長を任され、培った人脈と経営感覚が創業に大いに役立ったという。退職を告げたのは会社設立の半年前。聞きつけた個人客が開業を待って修理を発注してくれたり、出入りの代理店が仕事を回してくれたりしてスタートダッシュを助けてくれた。その後も「やばいなーと思うとどこかから仕事が来る」状態が続き、「おかげさまで思ったよりうまくいきすぎている」と頭をかく。
好調の要因は「お客さんファースト」の姿勢と、主な取引先である保険会社から信頼を得ること。「某中古車店のように保険会社から不当に高いお金を取ろうとすれば良い関係は築けない。僕の場合は保険会社さんと仲良くして情報を交換し、(適正料金で)仕事ももらう関係性」と、保険会社とのこまめなコミュニケーションを大切にしている。
車に興味を持ったのは小学生の頃。青梅で車の修理店を営むおじに連れられ見に行った草レース「ジムカーナ」が原点という。子ども時代のあこがれのままに地元福生の都立高校を卒業後、整備士に。その後も車一筋で、ついに自分の会社を持った。
同業他社がひしめく競争の激しい業界。ただ、後継者のいない年配の経営者が惰性で続ける会社や設備の古い会社も多く、その辺りに勝機があるとみる。この数年で経営を安定させ、塗装ブースと積載車をグレードアップして他社との差別化を狙う。
独立の夢がかなった今、次なる目標は従業員の待遇を改善すること。福利厚生が十分でないと言われる自動車整備業界だからこそ9月から退職金の積み立てを始め、「今働いてくれている人たちには退職金を出してあげたい」。次の世代に引き継ぎたいと思われる会社に育て、100年企業を目指したいという。
創業時、適当な社名が浮かばず趣味のゴルフにちなんだ名前にしたが、ゴルフクラブのメーカーと間違われることも。あきる野出身の妻は東青梅駅近くでエステサロン店を経営している。

【プロフィール】もりた りゅうじ
1984年、福生市生まれ。都立福生高校を卒業後、あきる野市の自動車整備会社に入社。3級自動車整備士の資格を取得後、同業2社で勤務。2社目で自動車部門全体の責任者を経験し、2024年4月に株式会社フォーティーン設立。妻、中学生の娘とあきる野市二宮に暮らす。

【訪問者】西武信金 瑞穂支店 コーディネート担当 伊藤さん(54)
自社の利益率を確保しつつ、顧客の立場に立った事業を実施している、いわゆる“お客さまファースト”の経営理念に大変感服しています。開業間もない中で受注が途切れない状況は、この経営理念と社長を中心とした組織体制の賜物だと思います。さらなる躍進を応援してまいります。
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